按摩治療


按摩治療    
令和3年7月第170号
痔の症状を軽減できる按摩治療
中医学で腎の竅は「耳と二陰」であると説明している。
「竅」とは身体にある穴で九つある。
二陰とは前陰すなわち尿道口で後陰は肛門である。
従って痔は腎の関係する硬結・圧痛のあるツボを治療すると症状を軽減することができる。
痔の反応としては恥骨の上の腎経・横骨穴に圧痛が出ていることが多い。
痔に響くあるいは横骨穴の圧痛を軽減できる全身のツボを治療すると痔の症状を軽減することができる。
痔の症状が左右に片寄って現れているかを聞く。
右側にイボ痔があるとして説明する。              
背臥位
(1)腹部の診断                                                                                                     図1
下腹部、恥骨の上、右腎経・横骨穴の圧痛を確かめる。(図1)                
腹臥位
(2)背腰部の按摩
① 仙骨部の下髎穴を左右指圧して、圧痛を調べる。
右側に強くあることを確かめ、重ね母指持続圧を行う。(図2)             図2
② 腰部の腎兪穴、志室穴を左右指圧して硬結・圧痛を調べる。
右の腎兪穴の硬結・圧痛に重ね母指持続圧を行う。(図3)
③ 下腿腎経、築賓穴の硬結・圧痛を調べ、母指揉捏と持続圧を行う。(図4)        
④ 足底、腎経・湧泉穴の圧痛を調べ、重ね母指持続圧を行う。(図5)          図3
背臥位
(3)百会穴の後ろずらし圧
百会穴を垂直に30秒間ほど押す。次に後方ずらし圧を1分間行う。(図6)
(4) 下腹部、腎経・右横骨穴を指圧して圧痛が軽減していることを足かめる。      図4

 図5                 図6                       

                                                                                                              

令和3年5月 第169号  

● 巻き肩を改善できる経絡按摩

筆者の経験上、巻き肩は肺の弱りと推測される。

さらに怒り肩になっていることがある。

巻き肩は大胸筋が収縮していて、怒り肩は僧帽筋と肩甲挙筋が収縮している。

また呼吸で、吐く息が十分に行われない。

坐位

患者さんに左右の肩を同時に下げるようにし、さらに後方に引いて胸を開く動作をさせて、どちら側がやりにくいかを調べる。

右側がやりにくいとして説明する。

 

背臥位 肩甲間部の真ん中にタオルを巻いて当てて、胸を反らした状態にする。

肺経募穴・中府穴の圧痛を確かめる。(図1)

肩をベッド側に押しながら大胸筋に四指圧迫と揉捏を行う。(図2)

上肢の肺経に診断按摩を行って硬結・圧痛穴を調べる。

例 尺沢穴に指圧と揉捏(図3)

 

側臥位

治療師の手で肩甲骨を下げた状態に保って、硬くなっている僧帽筋と肩甲挙筋に指圧と揉捏を行う。(図4)

肩甲骨を側方(天井側)かつ背側・足方に持ち上げてストレッチ。(図5)

 

腹臥位

右肩の前部にタオルをあてて、胸を反らした状態にする。

肩甲間部の肺兪穴を重点的に指圧と揉捏を行う。(図6)

右側頸部に指圧と揉捏を行う。(図7)

 

坐位

患者さんは両手を首の後ろで組む。治療師は背側から上腕部をつかみ、上方・後方に持ち上げる。(図8)

 

反対側も同様に行う。

 

治療効果の判断

患者さんに両肩を下げて後方に反らして、治療前よりも楽にできることを確かめる。

吐く息を意識して大きく呼吸をして、楽にできることを確かめる。

      図1                 図2                    図3

 

    図4                             図5                 図6

   

    図7                  図8​

 

 

令和3年3月 第168号

● 頸部の側屈ができるようになる経絡按摩
頸部の側屈は身体の外側を巡っている三焦経と胆経が関係深い。
さらにこれらの陽経に対する陰経の心包経と肝経にも関係深い。
坐位
患者さんに頸部を側屈させて、伸ばした方に痛みがでるか、曲げた方に痛みが出るかを調べる。
例 右に側屈した時に伸ばした左側が最も痛く、曲げた右側も少し痛みが出た。(図1)
左側頸部に診断按摩を行って疼痛部位を調べると第5頸椎横突起部であった。
筆者の大まかな側頸部の頸椎横突起の調べ方
患者さんの側頸部の乳様突起の下から筆者の片側の指先を4本と他方の指先3本を当てる。
上から示指の指が当たっているところが第1頸椎横突起部、中指が第2、薬指が第3、小指が第4、他方の手の薬指が第5、中指が第6、示指が第7頸椎横突起部である。
(図2) 
1) 三焦経と胆経のツボによる左側頸部の治療
左前腕部・手部の三焦経で圧痛の出ていることが多い、上中渚穴と四瀆穴を2つ同時に指圧して左頸部の痛みが軽減することを確かめる。
次に左下腿・足部の胆経で痛みの出ていることが多い、足臨泣穴と陽陵泉穴を同時に指圧して痛みの軽減を確かめ、三焦経のツボと胆経のツボでどちらがより軽減したかを調べる。
さらに上中渚穴と四瀆穴、足臨泣穴と陽陵泉穴を一つずつ指圧してどちらのツボで軽減するかを調べる。
例 左上中渚穴と足臨泣穴であったので、この2穴を同時に指圧して首を右に傾けると左側頸部の痛みが軽減した。(図3)

左上側臥位
1) 背腰部の指圧
左側の胆兪穴・陽綱穴、三焦兪穴・肓門穴で最も硬結・圧痛が強いツボを調べる。
枕を外して首に痛みが出た状態で最も硬結・圧痛のあるツボを指圧して痛みが軽減することを確かめる。
例 肓門穴の持続圧で首の痛みが軽減した。(図4)

腹臥位
6 ) 頸部の按摩
今までの上肢・下肢のツボと背部のツボの按摩で圧痛がだいぶ軽減している。
頸部を右に曲げて左首に痛みを出した状態で第5頸椎横突起部の疼痛部位に母指の関節部で揉捏し、次に母指を曲げて指先で持続圧を行った。(図5)
坐位になって首を右に傾けると左側に傾けた時と同じくらいに曲げられて痛みが起こらなかった。


令和3年1月 第167号

頸部の後屈と飲み込み動作ができるようになる経絡按摩

 頸部の後屈は頸部関節の柔軟性、前頸部の筋の柔軟性、後頸部の筋の収縮などが関係する。
 前頸部をめぐる経絡は任脈と腎経、胃経である。
 坐位で患者に頸部を後屈、少し右斜め後ろに後屈、少し左斜め後ろに後屈と3方向に行って最も強張り感が出る角度を調べる。
 その角度で、飲み込みの動作を行う。

例 やや左斜め後ろで右側の前頸部に強張りを感じて、飲み込みにくかった。
〔背臥位で、枕を外して頸部をやや左斜め後ろに後屈する〕

 

【治療】
① 右下腿・腎経の按摩
 照海穴あるいは太谿穴を持続圧しながら足を固定して、他方の手の四指で築賓穴から下陰谷穴にかけて四指圧迫と揉捏を行う。
 患者に頸部を左斜め後ろに後屈させる。前頸部の強張り感が軽減して、飲み込みが楽になることを確かめる。

② 右下腿・胃経の按摩
 陥谷穴を持続圧しながら足を固定して、他方の手で足三里穴から下巨虚穴にかけて母指圧と揉捏を行う。

③ 任脈の主治穴である手の肺経・列欠穴を持続圧しながら前腕部、肺経・孔最穴とその上下の硬結に指圧・揉捏を行う。

④ 頭頂部、督脈・百会穴の右斜め前方のずらし圧を行う。

⑤ 右前頸部の硬結に四指圧・四指揉捏を行い、反対側にも行う。

 

【治療効果の確認】
〔坐位〕
頸部を左斜め後ろ後屈して飲み込み動作をし、行いやすくなっていることを確かめる。
治療師は後屈の角度が大きくなっていることを確かめる。

● 身体の前屈ができるようになる経絡按摩
 左右の腋下の体温を計って低い方を調べる。
 ある男性(60歳)の例では、右が36.0度で左が36.3度で、右側が0.3度低かった。
 腋下部の経絡は心経と心包経で、この経絡に陽経は小腸経と三焦経である。
 上肢でほとんどの人が常に冷えている部位は、上腕外側部の三焦経と、後側部の小腸経である。
 下肢で常に冷えている部位はアキレス腱部、膀胱経外側部から外踝、足部の外側部、第5趾にかけてである。

【治療 約20分間】
腹臥位

①右上肢・下肢の按摩
 上肢、上腕外側部と後側部の冷えている部位に指圧・揉捏を行う。
 下肢、下腿外側部から第5趾にかけて冷えている部位に指圧・揉捏を行う。

②右肩甲間部の按摩
 厥陰兪穴、外厥陰兪穴、膏肓穴に診断按摩を行って、最も硬結・圧痛のあるツボを1穴、同様に心兪穴、外心兪穴、

 神堂穴で最も硬結・圧痛のあるツボを1穴、調べて上肢の心包経、心経に響き的な感覚が起こるように持続圧を行う。
 例.膏肓穴と神堂穴の重ね母指持続圧

③右腰部の按摩
 志室穴の硬結・圧痛をとらえて、重ね母指で足の膀胱経の冷えの部分に響くように持続圧を行う。
 ・上腕部と足部の冷えが改善していることを確かめる。
 ・背臥位で左右の腋下の体温を計る。
 ・治療するとほとんどの例で低い方の体温が上がっている。

●腋下体温を上げることができる経絡按摩
 左右の腋下の体温を計って低い方を調べる。
 ある男性(60歳)の例では、右が36.0度で左が36.3度で、右側が0.3度低かった。
 腋下部の経絡は心経と心包経で、この経絡に陽経は小腸経と三焦経である。
 上肢でほとんどの人が常に冷えている部位は、上腕外側部の三焦経と、後側部の小腸経である。
 下肢で常に冷えている部位はアキレス腱部、膀胱経外側部から外踝、足部の外側部、第5趾にかけてである。

【治療 約20分間】
腹臥位
①右上肢・下肢の按摩
 上肢、上腕外側部と後側部の冷えている部位に指圧・揉捏を行う。
 下肢、下腿外側部から第5趾にかけて冷えている部位に指圧・揉捏を行う。

②右肩甲間部の按摩
 厥陰兪穴、外厥陰兪穴、膏肓穴に診断按摩を行って、最も硬結・圧痛のあるツボを1穴、同様に心兪穴、外心兪穴、神堂穴で

 最も硬結・圧痛のあるツボを1穴、調べて上肢の心包経、心経に響き的な感覚が起こるように持続圧を行う。
 例.膏肓穴と神堂穴の重ね母指持続圧

③右腰部の按摩
 志室穴の硬結・圧痛をとらえて、重ね母指で足の膀胱経の冷えの部分に響くように持続圧を行う。
 ・上腕部と足部の冷えが改善していることを確かめる。
 ・背臥位で左右の腋下の体温を計る。
 ・治療するとほとんどの例で低い方の体温が上がっている。 

 

 

● 顎関節の痛みを軽減できる経絡按摩
 顎関節には胃経の経絡が通っている。顎関節のいろいろな症状は胃の弱りと関係が深いが、胃の弱りは陰陽の関係で

 脾(膵臓)の弱りが原因であることが多い。
 脾と胃で硬結・圧痛の現れているツボを治療すると、顎の痛みを軽減することができる。
 症状の確認として強く噛みしめる、口を開けて顎を左右に動かして顎関節の違和感を確かめる。
 例として顎を左側に寄せると、左顎関節に痛みが起こるとして説明する。

 

【治療】
背臥位
(1)下肢の按摩
 脾経・公孫穴と胃経・陥谷穴、脾経・陰陵泉穴と胃経・足三里穴の4穴を同時に指圧する。顎を左に寄せて痛みが軽減することを

 確かめて持続圧を行う。

腹臥位
(2)背腰部の按摩
 左の脾兪穴と胃兪穴の2穴を同時に指圧して顎を左に寄せて痛みの軽減を調べる。
 次に意舎穴と胃倉穴の2穴を指圧して顎の痛みの軽減を調べる。
 最初に行った方と比較して、痛みの軽減が強かった方を治療穴と判断して持続圧を行う。
 例 意舎穴と胃倉穴の2穴を持続圧した方が顎の痛みが軽減した。

 

背臥位
(3)百会穴のずらし圧
 百会穴を垂直に30秒間ほど押す。次に顎を左に寄せて痛みを出した状態で、垂直圧から左にずらし圧を行う。

 痛みの部位に響くことを確かめて持続して行う。
 すべて治療が終わってからもう一度、顎を左によせて痛みの軽減を確かめる。

● 肺の機能(匂いが敏感になる、呼吸を楽にできる、母指と示指のOリングテストが強くなる)が向上する経絡按摩
 中医学で呼吸は「肺は呼吸を主る」、また五臓の色体表の五色で肺は白い色に関係が深いと説明している。
 肺経は母指に、大腸経は示指に関係が深い。

【テスト】
 患者さんは背臥位
 コーヒー豆をチリ紙に包んで片側の鼻で匂いを嗅いでもらい、感覚が弱い方を調べる。
 鼻と胸を意識して大きく2回、呼吸をする。
 匂いの感覚が弱かった方の手の母指と示指でOリングテストをして力の強さを確かめる。

 

【治療】
(1)胸部の按摩
 胸骨部、任脈の華蓋穴に指圧・揉捏を行う。
 匂いが弱かった側の腎経のツボ、彧中穴、神蔵穴、霊墟穴、神封穴の診断按摩を行って、最も圧痛の強いツボを調べる。
 そのツボに母指持続圧を行って十分に響かせる。
 激痛がある時、上肢・肺経の尺沢穴を持続圧しながら行うと圧痛が軽減して強い力で指圧することができる。
例 右尺沢穴を持続圧しながら右神蔵に持続圧と揉捏を行う。

(2)上肢の按摩
 魚際穴を持続圧しながら尺沢穴から孔最穴にかけて指圧・揉捏を行う。

腹臥位
(1)鼻、のど、肺の症状改善の按摩
 鼻の田中流特効穴である外風府穴の持続圧。母指の指先で鼻が通るまで1分から3分の持続圧を行う。
 のどに関係が深い、内肩中兪穴に重ね母指持続圧を行う。
 肺に関係が深い肺兪穴、外肺兪穴、魄戸穴に診断按摩を行って最も硬結・圧痛のあるツボを調べ、そのツボに重ね母指持続圧を行う。

背臥位
テストで行ったことをもう一度行う。
 コーヒー豆の匂いを嗅ぐと感覚が弱かった方が敏感になっていることが分かる。
 大きく呼吸をすると、鼻の息の通りが良くなって呼吸がしやすくなっていることが分かる。
 Oリングテストをすると指の筋力が強くなっていることが分かる。 

 ● 肩甲骨部の小腸経・天宗穴の硬結・圧痛を軽減できる経絡按摩
 小腸経の経絡上の硬結・圧痛は、小腸の弱りと同時に心の弱りが現れることが多い。
 小腸経募穴・関元穴と天宗穴の両方の症状を改善できるツボに、治療を行うと軽減することができる。

【診断】
腹臥位
 (右天宗穴に硬結・圧痛が強いとして説明する)
 患者さんの手で下腹部の関元穴を圧迫して不快感のあることを確かめる。

⑴背腰部の按摩
➀ 仙腸関節部の小腸兪穴の圧痛を調べる。
 このツボを母指の指先を立てて指圧して、他方の手で天宗穴を揉んで圧痛が軽減す ることを確かめて持続圧を行う。 
 また患者さんが関元穴を圧迫して、不快感が軽減することを確かめる。
 志室穴も関係が深いので硬結・圧痛があれば、このツボにも持続圧を行う。
➁心兪穴、外心兪穴、神堂穴に診断按摩を行って最も硬結・圧痛のあるツボを調べる 。神堂穴に反応のあることが多い。
 神堂穴を持続圧しながら天宗穴を指圧して圧痛が軽減することを確かめ、持続圧を 行う。


⑵上肢の按摩
 上肢の小腸経、後谿穴・腕骨穴・陽谷穴を三穴に示指、中指、環指の三指で指圧し て天宗穴の硬結・圧痛が軽減することを

 確かめ、持続圧を行う。
 

⑶百会穴の右斜め後方ずらし圧を行う。
 

⑷患部の按摩 
 天宗穴に十分に指圧と揉捏を行う。

●飲み込みにくい症状を軽減できる経絡按摩
 飲み込みにくい症状は筆者の経験から、腎と腎経のツボを治療して軽減することができる。また胃経のツボでも軽減できる。
 腎の経絡は上胸部の兪府穴で終っているが、奇経の陰蹻脈はのどを通って目の下まで流注している。
 背臥位で患者さんにツバを飲み込んでもらい、その感覚を確かめる。あるいは枕を外して顎を上げて飲み込みにくい状態で飲み込んでもらう。
 この状態で症状を改善できるツボを調べて、指圧・揉捏を行うと改善することができる。

【治療】
背臥位
➀照海穴の持指圧
 枕を外して顎を上げた状態で左右の照海穴を指圧すると飲み込みやすくなった。

 

➁陥谷穴と外陥谷穴の持続圧
 左右の陥谷穴と外陥谷穴、4穴を同時に指圧すると飲み込みやすくなった。 

➂後頸部の下天柱穴を左右同時に中指で天井側に圧迫すると飲み込みやすく なった。

➃頭頂部、百会穴の前ずらし圧

腹臥位
 患者さんに顎を上げるか、あるいは下げて飲み込みにくい方を調べる。
 左右の腎兪穴、志室穴の硬結・圧痛を調べる。

 

➄顎を下げて左右の腎兪穴を持続圧すると飲み込みやすくなった。

 ●肩甲骨部の小腸経・天宗穴の硬結・圧痛を軽減できる経絡按摩

 小腸経の経絡上の硬結・圧痛は、小腸の弱りと同時に心の弱りが現れることが多い。
 小腸経募穴・関元穴と天宗穴の両方の症状を改善できるツボに、治療を行うと軽減することができる。

 

【診断】
腹臥位
(右天宗穴に硬結・圧痛が強いとして説明する)
患者さんの手で下腹部の関元穴を圧迫して不快感のあることを確かめる。

⑴背腰部の按摩
➀ 仙腸関節部の小腸兪穴の圧痛を調べる。 
 このツボを母指の指先を立てて指圧して、他方の手で天宗穴を揉んで圧痛が軽減することを確かめて持続圧を行う。
 また患者さんが関元穴を圧迫して、不快感が軽減することを確かめる。
 志室穴も関係が深いので硬結・圧痛があれば、このツボにも持続圧を行う。

 

➁心兪穴、外心兪穴、神堂穴に診断按摩を行って最も硬結・圧痛のあるツボを調べる。
 神堂穴に反応のあることが多い。
 神堂穴を持続圧しながら天宗穴を指圧して圧痛が軽減することを確かめ、持続圧を行う。

⑵上肢の按摩
 上肢の小腸経、後谿穴・腕骨穴・陽谷穴を三穴に示指、中指、環指の三指で指圧して天宗穴の硬結・圧痛が軽減することを

 確かめ、持続圧を行う。

⑶百会穴の右斜め後方ずらし圧を行う。

⑷患部の按摩
天宗穴に十分に指圧と揉捏を行う。

●鼠径部の大腿動脈部、脾経・衝門穴の痛みを軽減できる経絡按摩
 鼠径部の大腿動脈部は脾経と胃経の経絡が流注している。
 この部位の痛みは脾経と脾の弱りが関係していることが多い。
 脾の臓と脾経に関係する全身の硬結・圧痛のあるツボを治療すると改善することができる。

【診断】
背臥位
 鼠径部、脾経の衝門穴の圧痛が左右、どちらに強いかを調べる。
 例として、左側が強いとして説明する。
 左側の下腿、脾経のツボで硬結・圧痛の強いツボを調べる。
 例として、公孫穴と陰陵泉穴とする。
 脾経・募穴、章門穴の圧痛を調べる。
 例として、左章門穴に圧痛が強いとする。

【実験】
 患者さんの手で左章門穴と衝門穴を圧迫しながら、治療師が公孫穴と陰陵泉穴を指圧して腹部の症状が軽減することを確かめる。

【治療】 
左上の側臥位
 脾兪穴と意舎穴で硬結・圧痛の強い方を調べる。
 意舎穴とする。意舎穴を指圧しながら患者さんに鼠径部・衝門穴を圧迫して圧痛が軽減することを確かめる。
 衝門穴の圧痛が半減するまで意舎穴に重ね母指持続圧を行う。
 百会穴の斜め後方ずらし圧

背臥位
 もう一度、公孫穴と陰陵泉穴を持続圧する。
 効果の確認
 衝門穴の圧痛がほとんど改善していることを確かめる。

 

 

● 呼吸を楽にできる経絡按摩
 呼吸は肺の主(つかさど)りであるが、特に吸う息は腎、吐く息は肺であると古典で説明している。

 

【治療】

背臥位
 「息吸って」と指示して腎経・照海穴を指圧する。 
 「息吐いて」と指示して肺経・魚際穴を指圧する。
 この逆をやると呼吸がしにくいことが分かる。

側臥位(中府穴の硬結・圧痛のある側を上に側臥位)
 「息吸って」と指示して腎兪と志室を指圧する。 
 「息吐いて」と指示して肺兪と魄戸を指圧する。 

● 脇腹の肋間神経痛(第10肋骨の部位)を軽減できる経絡按摩
 第10肋骨は胆と胆経に関係が深い。
 肋間神経痛の痛みと胆経募穴・日月穴(第12肋骨端)の圧迫不快感を同時に軽減できる、背腰部のツボと下肢胆経のツボを治療すると

 軽減することができる。

 

【治療】
〔患側を上に側臥位〕 
(1)下肢のツボの按摩
 ①患者さんに肋間神経痛の部位と胆経募穴・日月穴を圧迫してもらいながら、下肢胆経で硬結・圧痛のあるツボに按摩を行う。
 例.陽陵泉穴を指圧すると神経痛と募穴の痛み軽減した。  

 

②背腰部のツボの指圧 
 背部の胆兪穴と肝兪穴、その外側の陽綱穴と魂門穴を指圧・揉捏し、最も硬結・圧痛のあるツボを調べる。
 例.陽綱穴に重ね母指圧をすると神経痛と募穴の痛みが軽減した。        

 

③百会穴の患側への横ずらし圧 
 このツボも患部に響きくことが多いが、感じない場合は患者さんの手で神経痛の部位を圧迫してもらいながら行うと

 圧痛が軽減するので分かる。

 
④患部の按摩                        
 最後に、今までの治療で神経痛はだいぶ改善しているので軽めに指圧と揉捏を行う。                            

 

坐位
(2)坐位で体幹を側屈して患部に痛みが出る場合、その姿勢を保って痛みの部位に按摩を行う。  

 

                   

● 肩甲間部・膏肓穴の硬結・圧痛を軽減する経絡按摩
 膏肓穴はこの内側に厥陰兪穴があり、このツボと関係が深い。また膀胱経2行線のツボなので、経験的に腰部の肓門穴に関係が深い。
 膏肓穴を持続圧すると上肢の三焦経から薬指に響くことが多い。
 患者さんに膏肓穴を圧迫してもらいながら、心包経の募穴、膻中あるいは神封穴・霊墟穴、三焦経の募穴、石門穴の圧迫不快感を軽減できる

 ツボを治療すると膏肓穴の硬結・圧痛を軽減することができる。
 

【治療】

〔患側を上に側臥位〕 
⑴ 上肢のツボの按摩
 ①患者さんに膏肓穴を圧迫してもらいながら、上肢、三焦経で硬結・圧痛のあるツボ、四瀆穴や外関、支溝、会宗穴、上中渚穴で

 最も硬結・圧痛のあるツボを指圧して、膏肓穴の圧痛が軽減することを確かめて治療穴と判断して持続圧を行う。
 例.四瀆穴を指圧すると膏肓穴の圧痛が軽減した。       

 

⑵ 肩部のツボの按摩
 肩上部に三焦経の天髎穴がある。このツボに硬結・圧痛が強くある場合、指圧して膏肓穴の硬結・圧痛を軽減することができる。         
〔腹臥位〕
⑴ 頸部のツボの按摩 
 側頸部で耳の下に天牖穴がある。このツボに硬結・圧痛が強い場合、指圧して膏肓穴の圧痛を軽減することができる。             

 

⑵ 背腰部のツボの按摩
 腰部の膀胱経2行線、三焦兪穴の外側の肓門穴に硬結・圧痛が強い場合、このツボを指圧して膏肓穴の硬結・圧痛を軽減することができる。             

 

⑶ 百会穴の患部方向、斜め後方への右ずらし圧           
 

⑷ 患部、膏肓穴の指圧と揉捏  

 

              

●股関節外側部、胆経・環跳穴の痛みを軽減できる経絡按摩
 環跳穴は胆経のツボであるが、この痛みはその陰の肝経・肝の弱りから起こっていることが多い。
 例えば右股関節を外転して痛みが出る場合、その状態を保ってこの部位と関係の深いツボに按摩(揉捏と指圧)を行って、

 痛みが軽減することを確かめて治療を行う。

 

【治療】
〔背臥位〕 
(1)下肢のツボの按摩
 ①右足臨泣穴と下腿・胆経で硬結・圧痛のあるツボ、例として陽交・外丘穴を持続圧して股関節の痛みが軽減することを確かめる。
 例.足臨泣穴と外丘穴を同時に指圧すると股関節の痛みが軽減した。 
 

 ②右肝経の太衝穴と曲泉穴を同時に指圧して股関節の痛みが軽減することを確かめて治療する。    
 

〔腹臥位〕
(2)背腰部の按摩
 右側の胆兪穴、陽綱穴、肝兪穴、魂門穴を指圧して最も硬結・圧痛のあるツボをしらべ、そのツボを持続圧して環跳穴の痛みが軽減するのを

 確かめて治療する。 
 例.右魂門穴を持続圧すると環跳穴の痛みが軽減した。             

 

(3)百会穴の患部方向への右ずらし圧          
 

(4)患部関節の按摩
 股関節を外転して環跳穴にゲンコツ圧迫と揉捏を行う。

    

 

●中指の近位指節関節が腫れて屈曲・伸展できないという症状を軽減できる経絡按摩
 中指は心包経である。
 全身の心包と心包経に関係したツボで、硬結・圧痛のあるツボに按摩を行うと改善することができる。
 心包経の募穴は胸部の膻中穴である。
 右中指を屈曲すると関節の内側と外側に痛みが出て、伸展すると基節骨の掌側部に痛みが出るとして説明する。

 

【治療】

〔腹臥位〕 
背腰部のツボの指圧
(1)志室穴の持続圧
 筆者の経験上、同側の腎兪穴の外側、志室穴の持続圧で中指に響くことが多い。
 すなわち腎の弱りが根本原因で症状が起こっていると推測される。
 患者さんに中指を屈曲してもらい、伸展してもらって痛みを再現する。
 志室穴を持続圧しながらもう一度、中指の屈曲・伸展をすると痛みが軽減することがわかる。
 5分間の持続圧を2~3回行う。                

 

(2)厥陰兪あるいは外厥陰兪の硬結・圧痛を調べて、強い方のツボに持続圧を行う。                          

 

〔背臥位〕 
頭部のツボの指圧
①百会穴の患側の右方向に横ずらし圧         

 

胸部のツボの指圧  
①胸部の腎経・神封穴に、中指を屈曲しながら(図4)、また伸展しながら持続圧を行う(図5)。


手の患部の指圧
①中指を屈曲して関節の内側、外側に指圧と揉捏を行う  
②中指を伸展して基節骨の内側部に指圧と揉捏を行う

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