按摩治療・臨床発表

●左後頸部、下天柱穴の胆経寄りの硬結・圧痛が、腎経のツボ指圧で軽減した。男性 71歳NEW!

寝ていて頸の左側が痛むという。
背臥位
痛む部位を調べると下天柱穴の胆経寄りのツボで、胆経か膀胱経か判断が難しかったので、下肢の肝経と腎経のツボを指圧して軽減する方を調べた。
最初に左の肝経の太衝穴と胆経の足臨泣穴の2穴を、左右の母指で指圧して頸を左右に動かして痛みの軽減を調べた。
次に腎経の照海穴と膀胱経の申脈穴の2穴を、示指を曲げて近位指節関節の部位で左右から圧迫した。
腎経のツボの方が頸の痛みを軽減することができた。
腎経の照海穴を中指で持続圧しながら、他方の手の四指で築賓穴に指圧と揉捏を行った。
築賓穴は激痛があった。)
筆者は健側の右側に位置して膀胱経の申脈穴を中指で持続圧しながら、他方の手の四指で跗陽穴に指圧と揉捏を行った。
跗陽穴にも激痛があった。
腎経と膀胱経のツボを治療して頸を左右に動かすと、50%程度痛みが軽減した。
筆者は頭上に位置して左手の中指で下天柱穴に指圧と揉捏を行った。
坐位になって頸を回すと右斜め前で少し痛みが出たので、その姿勢で指圧と揉捏を行った。
終わってもう一度、頸を回すと80%程度改善しているとの感想であった。

●後腹膜がんの治療で放射線を受けたあと、後遺症で左下肢の大腿部にリンパ浮腫が起こった。女性 61歳
弾性ストッキングを履いている。
リンパ浮腫で最も硬い部分は左大腿内側部、肝経の陰包穴であった。
病院のリハビリから、他でマッサージを受けて強く揉まないようにと言われている。
背臥位
陰包穴を圧迫して痛みを感じさせておいて下肢、肝経で激痛のあった蠡溝・中都穴を指圧しながら、もう一度、陰包穴を圧迫すると圧痛が軽減した。
太衝穴を持続圧しながら蠡溝・中都穴を十分に四指圧迫と揉捏をした。
腹臥位
背腰部の肝兪穴に硬結・圧痛があった。持続圧すると陰包穴に響いたのでこのツボも母指持続圧と揉捏を十分に行った。
背臥位 
股関節屈曲外転、膝関節屈曲で陰包穴を揉むと最初の圧痛は半分くらいに軽減して普通の強さで揉むことができた。
月2回の治療を4カ月間行って、弾性ストッキングを履かなくてもよいくらいにリンパ浮腫が改善した。

●側頭部の頭痛が足臨泣の指圧で改善した。女性 58歳
頭痛の部位を聞くと右胆経・頭の臨泣穴であった。そこで右胆経・足臨泣穴を指圧すると足を引っ込めるほどの激痛があった。足臨泣穴を軽く持続圧しながら、下腿・胆経のツボ(陽陵泉から懸鐘)に按摩を行った。
10分くらい行うと頭の痛みがほとんど感じなくなって、同時に右目の奥がジーンとした感覚になった。その後、5分ほど行って終了したとき、頭痛はなく目が明るくてなっていた。 

 ●胃経・陥谷穴の指圧で痰が出やすくなって、のどが調子よくなる。女性 32歳
「先生、風邪を引いて、のどのここが痛むのですが、自分で押すとのどが少し楽になります」と言って、右胸鎖乳突筋部の胃経・人迎穴とその外側の大腸経・天鼎穴あたりを押した。
最初に手の右大腸経の合谷穴と手三里穴を指圧して、のどの痛む部位を圧迫してもらうと少し痛みが軽減した。次に足の胃経の陥谷穴と足三里穴を指圧してのどを押してもらうとハッキリと痛みが軽減した。ツバを飲み込んでもらうとのどがすごく楽だという。
さらに足三里穴だけと陥谷穴だけを指圧して分けて行うと、陥谷穴に激痛があって、このツボで一番楽になった。
その外側の外陥谷穴にも激痛があって、この2穴を持続圧した。
のどの痛みで、のどの患部にはあまり指圧・揉捏ができない。背臥位で後頸部に診断按摩を行うと右下天柱穴に硬結・圧痛があった。中指で下から上に向けて指圧するとのどに響いたので1分間ほど持続圧をした。

●尿が濁るという症状が志室穴と湧泉穴で軽減した。女性 81歳
尿が濁る原因は、①膀胱炎などで白血球や細菌が尿中に排出されたとき ②シュウ酸カルシウムなどの結晶成分が増えたとき ③腎臓付近のリンパ管が閉塞して脂肪を含んだリンパ液が尿中に混入したときなどである。
患者さんは病院へは行っていなので原因は分からないが、志室穴と激痛のあった湧泉穴を持続圧したところ、次の日から3日間は尿が澄んでいたという。
しかし治療間隔が空くとまた濁るというので、何か病気があるのではないかと心配である。

●踵の大鐘穴と崑崙穴の圧迫牽引で鼻が通った。男性 36歳
いつも左の鼻が詰まるというので背臥位で踵の腎経・大鐘穴と膀胱経・崑崙穴を示指と中指で圧迫して他方の手を添えて手前に引っ張った。
のどがジーンとした後、左の鼻が通った。
腹臥位で外風府穴の持続圧をしたら、さらに通って右の鼻よりもすっきりしていると言った。

●心兪穴の持続圧で冷たい手が温かくなった。男性 34歳
肩が凝るというので腹臥位で肩を揉んでいたら、冬になると手が冷たくなるという。
手が冷たくなるのは筆者の経験上、心の弱りから起こることが多いので心兪穴を揉んで調べると左右共に外心兪穴に硬結・圧痛があった。
このツボを1分間ほど持続圧すると手が微かに温かくなったという。
さらに1分間行うとハッキリと温かくなった。

●テニス肘の診断と治療 女性 46歳
患者「右肘の関節の所が痛くなって整形外科で診てもらったところ、テニス肘と診断されて湿布薬をもらいました」
筆者「あなたはテニスをしますか」
患者「しません」
筆者の経験からテニスをしないのに痛みが起こるのは内臓の弱りが原因と思われる。
背臥位
患者さんの左手で右のテニス肘の痛みの部位(腕橈関節)を圧迫してもらって痛みを感じた状態で、大腸経の合谷穴と手三里穴を2穴同時に指圧して痛みの軽減を判断してもらった。次に三焦経の上中渚穴と四瀆穴を指圧して痛みの軽減を比較してもらうと三焦経のツボの方で軽減した。テニス肘は三焦経の弱りであると判断した。
治療 腹臥位
テニス肘に関係の深いツボを重点的に揉捏と指圧を行い、最も硬結・圧痛があって持続圧して患部に響くツボを調べた。
肩甲骨部の天宗穴、肩甲間部の膏肓穴、外厥陰兪穴、厥陰兪穴、側頚部の阿是穴(第3頸椎横突起部あたり)、背部の魂門穴、腰部の三焦兪穴、肓門穴、志室穴。魂門穴と肓門穴でテニス肘の部分に響いたが、肓門の方に圧痛が強くあって患部への響きが強かった。
右肓門穴の重ね母指持続圧)
背臥位
手指を握って手関節と肘関節を伸展して痛みが出る状態で、上中渚穴を持続圧しながら四瀆穴に按摩を行った。
最後に痛みが出る状態で、テニス肘の部分に指圧と揉捏を行った。

●左膝を曲げると下委陽穴(膀胱経)に激痛が起こる。女性 55歳
左上側臥位
筆者の大腿部で膝を屈曲して痛みを出した状態で、下委陽穴と臀部の上環跳穴、志室穴に按摩を行うと改善することができる。
痛みを感じる限界まで膝を屈曲して、その状態を保って患部の下委陽穴に指圧・揉捏を行う。
次に臀部の上環跳穴を指圧すると下委陽穴に響いて痛みが軽減するので、このツボに手根圧迫と揉捏を行う。 
最後に症状発生の原因と思われる腰の志室穴に母指持続圧を行う。
治療を行う前は45度くらいしか膝を曲げることができなかったが、1回の治療で90度まで曲げることができるようになった。
このように痛みを我慢できる限界まで曲げて、強く指圧と揉捏をすると症状を改善することができる。