~東京都南青山にある治療院です~
5 経絡按摩
左手関節背側部、三焦経・下陽池穴の痛み
女性 72歳
転びそうになって左手を強く床に付いた。その後、手を付いて立ち上がるときに左手関節の背側、三焦経・下陽池穴に痛みが起こるようになった。
手関節を背屈すると下陽池穴に痛みが起こる
(図1)
〔坐位〕
三焦経井穴・関衝穴(図2)を左右指圧すると、左側に痛みが強く、前腕部、三焦経・四瀆穴(図2)を指圧すると圧痛が強かった。
左関衝穴と四瀆穴を持続圧した。(図3)
手関節の下陽池穴と同じ部位にある足関節の胆経・丘墟穴を左右指圧すると、左側に圧痛が強かった。
手関節を背屈させて左丘墟穴を指圧すると、陽池穴の痛みが軽減したので持続圧した。(図4)





〔腹臥位〕
肩甲間部で上肢の三焦経の症状に関係が深い膏肓穴に診断按摩を行うと、ぐりぐりとした硬結があった。
筆者が手関節を背屈して痛みを誘発した状態で、膏肓穴を指圧すると痛みが軽減した。(図5)
背腰部に診断按摩を行うと、左三焦兪穴の外側にある肓門穴に硬結・圧痛があった。
このツボを持続圧すると左陽池穴に響いた。(図6)
左足関節に枕を当て、左胆経・丘墟穴に母指の指先で持続圧を行った。(図7)
頭頂部、督脈・百会穴の左ずらし圧を行った
患者の右手で左手を背屈して関節部に痛みを誘発した状態で、百会穴の左横ずらし圧(図8)を行うと、陽池穴の痛みが軽減した。
1分間のずらし圧を3回行った。



左手関節を背屈して百会穴の左ずらし圧
〔坐位〕
ベッドに手を付かせると、痛みは50%程度改善していた。
機関誌178号 (04年11月 発行)掲載
左足関節部、胆経・丘墟穴の痛み
男性 59歳(患者は男性であるが写真は女性

ゴルフスイングの最後のフォロースルーの動作で、左足関節部に痛みが起こる。
素振りの練習道具を持たせて、フォロースルーの動作をさせた。痛みのツボは胆経・丘墟穴であった。(図1)
〔背臥位〕
足関節を内反位に保って丘墟穴に持続圧を行った。(図2)
足関節を内反位に保って、下腿の胆経、陽陵泉穴から懸鐘穴にかけて指圧・揉捏を行った。
足関節を内反位に保って、足部の胆経・足臨泣穴に指圧・揉捏を行った。(図4)
〔腹臥位〕
背腰部に診断按摩を行った。
硬結・圧痛が強かったツボは右陽綱穴、左右志室穴、右関元兪穴であった。(図5)
筆者の膝で患者の膝関節屈曲と足関節底屈を維持して丘墟穴に痛みを再現した状態で背腰部に診断按摩行った。硬結・圧痛があったツボは右陽綱穴と右関元兪穴であった。陽綱穴を持続圧すると丘墟穴の疼痛が軽減した。
膝関節屈曲・足関節底屈しながら陽綱穴を持続圧(図6)
丘墟穴の痛みが半減するまで、3分間の持続圧を3回繰り返して行った。
〔背臥位〕
頭頂部、督脈・百会穴の左ずらし圧(図7)
患者の右足で左足関節を内反位に押して、疼痛を再現した状態で百会穴の左ずらし圧を行うと疼痛が軽減した。
1分間のずらし圧を3回行った。
〔立位〕。
立って素振りの練習道具を持たせてスフォロースルーの動作をさせると、足関節部の痛みは最初に較べて50%程度であった。
スフォロースルーの状態を保って左丘墟穴に持続圧を行った。(図8)







機関誌177号 (04年09月 発行)掲載
右上腕骨外側上顆の痛み
男性 62歳(患者は男性であるが写真は女性)
図1
テニスで、バックハンドで打つと右上腕骨外側上顆部に痛みが起こる。
1㎏のダンベルを持たせてバックハンドの動作を行わせた。(図1)
疼痛部位は三焦経で、天井穴の近くなので「変動天井穴」とする。
(図2)
〔腹臥位〕
疼痛部位は三焦経であるので、前腕と手で硬結・圧痛が強いツボを調べると上中渚穴であった。上中渚穴を持続圧しながら変動天井穴を指圧すると、圧痛が軽減した。(図3)
肩甲間部と背腰部に診断按摩を行った。
硬結・圧痛が強かったツボは右側の肩井穴、膏肓穴、魂門穴、志室穴であった。(図2)
下肢では胆経・陽交穴であった。(図2)
1)膏肓穴に持続圧を行った。
肘関節を伸展して手を握らせ、痛みを誘発した状態で膏肓穴を持続圧すると、痛みが軽減した。
(図4)
肩井穴、魂門穴、志室穴、陽交穴に母指持続圧を行った。
もう一度肘関節を伸展して手を握らせると、さらに痛みが軽減した。
2)前腕部の按摩
支え手で上中渚穴を持続圧しながら、前腕部、総指伸筋の三焦経・四瀆穴に手根圧迫と手根揉捏を行った。(図5)
次に手を握らせて筋が硬くなった状態で、手根圧迫と手根揉捏を行った。
3)上腕部、上腕三頭筋の三焦経、小腸経に手根圧迫と手根揉捏を行った。(図6)肘関節を伸展させて上腕三頭筋が硬くなった状態で、手根圧迫と手根揉捏を行った。
4)肩関節、三角筋の三焦経・臑会穴、小腸経・肩貞穴に手根圧迫と手根揉捏を行った。(図7)肩関節を外転させて筋が硬くなった状態で、手根揉捏と手根圧迫を行った。
5)肩甲骨部、棘下筋、小腸経・天宗穴に手根圧迫と手根揉捏を行った。(図8)肩関節を外転させて筋が硬くなった状態で、手根圧迫と手根揉捏を行った。
図5

図6


図2

図3

図4

図7

図8

機関誌176号 (04年07月 発行)掲載
機関誌175号 (04年05月 発行)掲載
右鼠径部、脾経・衝門穴の痛み
男性 56歳(患者は男性であるが写真は女性)
図1
ゴルフでスイングすると、衝門穴に痛みが起こる。(図1)
〔背臥位〕
筆者が右下肢を持って体幹に向けて押して股関節を圧迫し、さらに股関節を内旋させて痛みを誘発した。
すなわちゴルフスイングで痛みが出る状態を再現した。
この状態で足部の脾経で圧痛があった公孫穴(図1)を指圧すると、衝門穴の痛みが軽減した。
筆者が右側腹部の脾経募穴・章門穴(図1)を圧迫すると圧痛があった。
患者の手で章門穴を圧迫させて、衝門穴と章門穴の痛みが軽減するまで、公孫穴の1分間持続圧を2回行った。(図2)
〔腹臥位〕
背腰部に診断按摩を行うと、左右の脾兪穴、意舎穴、胃兪穴、右志室穴に硬結・圧痛があった。
股関節を内旋させて痛みを再現した。
最も圧痛があった右意舎穴に重ね母指持続圧を行った。(図3)
3分間ほど行うと鼠径部の右衝門穴にジーンとした響きが起こった。
患者は右下肢の内側部にも微かにジーンとした感覚が起こるということで、脾経に気が巡っていることが確かめられた。
〔背臥位〕
頭頂部、督脈・百会穴の右斜め前ずらし圧を行った。
最初に百会穴を垂直に圧迫して、押し続けたまま、右斜め前にずらす。(図4)
1分間の持続圧を2回行うと、鼠径部の衝門穴の痛みが軽減した。

図2

図3

図4

図5
