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痔の症状の改善
●症例1.イボ痔(外痔核)の改善
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患者 男性 56歳 営業マン 飲食の機会が多い
中医学古典に「腎は二陰を主り、開闔(かいこう)を司る」と説明されている。
すなわち前陰の尿道と生殖器、後陰の肛門に腎の気がめぐって、開いたり閉じたりして調節しているということで肛門の病は腎の弱りである。
鍼・温灸は肛門の血行を改善して、うっ血を除き、症状の軽減に大変効果がある。

10年ほど前に肛門にイボができて痛んだので、病院で診てもらったところ外痔核と診断された。痛みがひどくなった時だけ座薬と軟膏、飲み薬をもらっている。
仕事上、飲む機会が多く、痔になってからは以前の半分以下に減らして、ひどくならないで経過している。
鍼灸と飲酒の節制で手術をしないで済むようにしたいとの希望。

●治療 50分
・診断按摩
外痔核が右側にあるということで、左上の側臥位になってもらい、パンツを下げて左の下肢を最大限に屈曲してもらった。
見ると肛門の右側に1・5㎝ほどの赤黒いイボ痔であった。
先ず、仙骨部と背腰部に診断按摩を行うと、右下髎穴、右腎兪穴、左胃兪穴、右肝兪穴に硬結・圧痛があった。
次に下肢に診断按摩を行うと、右下肢の腓腹筋部の膀胱経・承山穴と踵部の腎経・照海穴に圧痛があった。
頭の頭頂部、百会穴にも圧痛が現れていた。

・治療
手にディスポーザブルのグローブをつけて、肛門消毒用のペーパーで患部を消毒した。
使用鍼はディスポ(使い捨て)の1寸6分・0番で、1寸3分の鍼管を使い刺鍼部のツボに立てて15㎜ほど出た鍼柄を弾入した。
外痔核の周囲に4本、置鍼した。
診断按摩で調べた背腰部と下肢のツボにも刺鍼して響きを得て置鍼した。
百会穴には中国鍼で百会穴から後方に向けて斜刺した。
片手で臀部を横に押して肛門部を広げ、外痔核の4本の置鍼部に温灸で温めた。
このように置鍼して温灸をすると、置鍼部の皮膚を温めると同時に、熱が鍼を伝わって深いところまで浸透して、非常に気持ちよく感じ、同時にうっ血した血液を循環させる効果が高い。
温熱的な響きが、頭の頭頂部や足底部に感じることがある。
鍼を抜いて、患者さんにディスポグローブをはめてもらい、外痔核を触ってもらうと、いつもよりもやわらかくなって、押しても痛みが少ないといった。
この施術を1日置きに3回、続けて行ったところ、イボ痔の大きさが3分の1程度になって、歩いている時や排便の時も痛みを感じない程度になった。
現在も2週間に1回の施術を続けている。

●患者さんの養生法
自宅のトイレはウオシュレットにしている。
1回に飲むアルコールは、ビールは中瓶で1本、日本酒は1合程度にしている。
冷房で冷えた時は、長い時間、風呂に入っている。
●筆者のアドバイス 
肛門の引き締め運動は以前、やっていたが止めていたといので、再度、やってもらうことにした。
会社の椅子に電気マットを敷いて、坐っている時に温めることを勧めた。

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