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​2 鍼灸・臨床発表

左肩関節、烏口突起部の痛み

男性 55歳

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左腕を背中に回すと左肩関節前側の肺経・烏口突起部に痛みが起こる。(図1)

〔腹臥位〕

肩甲間部に診断按摩を行うと、左魄戸穴に痛みがあった。

重ね母指で持続圧を行うと烏口突起部に響いた。

背腰部に診断按摩を行うと左意舎穴と右志室穴に硬結・圧痛があった。

左意舎穴を持続圧すると左烏口突起部に響いた。

左魄戸穴に1寸・1番鍼で刺鍼して回旋・抜き刺しを行うと、烏口突起部に響いた。

左意舎穴と右志室穴に1寸6分・1番鍼で刺鍼して運鍼した(回旋と抜き刺し)

3穴に温灸を当てて温めた。(図2)

〔坐位〕

左腕を背中に回すと、鍼灸を行う前に較べて、30%程度改善していた。

左腕を背中に回した状態で烏口突起部に1寸・1番鍼を刺入して回旋・抜き刺しを行った。(図3)

置鍼したまま、左腕を前から背中に回す運動鍼を行わせた。(図4)

鍼を抜いて左腕を背中に回すと、治療前よりも手が上がって痛みは50%程度になっていた。

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機関誌178号 (04年11月 発行) 掲載

「実はコロナだったのです」

女性 38歳

5歳の子供が幼稚園でコロナにかかって、2日後にのどが痛くなった。

コロナに感染したと思ったが、検査に行かなかった。

仕事はテレワークだか絶対に休むことはできない。

以前、田中先生は「患者さんから、風邪をうつされたことはない」と言っていたので、治してくれるのは先生しかいないと思った。

子供がコロナにかかったことは言わないで、予約で空いている時間を聞いた。朝の9時なら次の患者さんは入っていないというので「少し、のどが痛いです」と言ってかかった。

背臥位で、のどの痛むツボを揉んで調べると右上天突穴であった。(図1)

患者に右上天突穴を圧迫させながら、右上肢の肺経のツボで圧痛があった尺沢穴と魚際穴を指圧して、右上天突穴の圧痛の軽減を調べると右魚際穴であった。

 

腹部と足を触診すると臍とアキレス腱部が冷えていた。

魚際穴に03番鍼(鍼体の直径0.10㎜)で刺鍼した。回旋・雀啄を行って響かせて置鍼した。右上天突穴には1寸・00番鍼で2㎝刺入して置鍼した。足の腎経・照海穴の左右のツボに刺鍼して置鍼した。

温灸を2つ持って照海穴と臍を温めると腹鳴が起こった。

次に温灸の煙を吸わないように顔に手ぬぐいを掛けて、魚際穴と右上天突穴を温めた。最初、かえってのどの痛みが強くなった感覚が起ったが、2分間ほどで痛みが引いた。

魚際穴の鍼がすごく響いていたと言うので、のどの鍼を抜いて魚際穴の鍼はテープで止めて腹臥位になった、背腰部に診断按摩を行うと、右内肩中兪穴、右肺兪穴、左右志室穴に硬結・圧痛があった。

この4穴に1寸3分・0番鍼で刺鍼して回旋・雀啄し、響かせて置鍼した。

温灸で温めた。終わって患者に右上天突穴を圧迫させると、圧痛が50%程度になっていた。次の日の朝にかかって同様に治療した。

3日目の朝にもかかった。

2回目の治療の夜、寝ていて汗をびっしょりとかいた。

シャワーではなく、お風呂に入りたい気持ちになったので夜中に風呂を沸かして入った。その後、ぐっすり眠って、朝、すごくスッキリした気持ちで起きた。

実はコロナにかかっていたと思いますと打ち明けてくれた。

のどの痛みは80%改善して、3回の治療で終了した。

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機関誌177号 (04年09月 発行) 掲載

①人工妊娠中絶した2日後に鍼灸治療をしたところ、次の日、下腹部がすごく重い感じがして後頭部に痛みが出た。一か月後に生理が来た。

女性 28歳

​図1

治療穴はいずれも左側の腎兪穴、関元兪穴、下髎穴であった。(図参照)
後頭部は膀胱経であるが、腎に関係する部位に響き的な感覚が起こったものと考えられる。

➁ 膏肓穴に1寸・3番鍼で刺鍼して気持ちよく響いた。

男性 45歳
筆者の鍼にかかる前は中国鍼の鍼を受けていて、「鍼は強刺激でいいです」という。
一番つらいという左肩甲間部に診断按摩を行うと、膏肓穴と心兪穴に硬結・圧痛があった、
膏肓穴には1寸・3番鍼で2㎝刺入して回旋・雀啄を繰り返した。
患者「いい感じで響いています」
心兪穴には1寸6分・1番鍼で4㎝刺入して運鍼した。
これも深いところに感じて、「中国鍼よりも響きは強くないが、いい感じです」という。
置鍼して温灸を行った。
患者「昔、灸頭鍼にかかったことがあるけど、同じ感じですね。あったかい感じが胸の方に来ます」
受付で「気持ちよかったです」と言って帰った。

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機関誌176号 (04年07月 発行) 掲載

右足底部の魚の目(図1)の痛みが、肝経・行間穴(図2)の刺鍼で響いて軽減した。
女性 42歳

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​図1

​図2

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〔背臥位〕
魚の目の部分にスピール膏を貼っていたので剥がした。
患部は母趾と第2趾の中間部であったので、足背部の肝経・行間穴を示指で指圧すると圧痛があった。
比較として左側の行間穴を指圧すると、圧痛は少なかったので、右行間穴が魚の目の治療穴であると判断した。
鍼体30㎜、太さ0.12㎜のステンレス、ディスポ鍼で刺鍼して回旋・抜き差しを行うと、魚の目の部分にジーンとした感覚が起こった。

〔腹臥位〕
背部に診断按摩を行うと右肝兪穴に硬結と圧痛があった。
鍼体50㎜、太さ0.14㎜の鍼で刺鍼して回旋・抜き差しをして響かせた。(図3)
治療が終わって床を歩くと、魚の目の痛みが半分になっていた。

​図3

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機関誌175号 (04年05月 発行)掲載

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