​1.鍼灸治療

左肘関節部、上腕骨外側上顆の痛み

女性 42歳

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​図1

​図2

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患者さんはテニスが趣味で左効きである。

バックハンドで打った時に左肘に痛みが起こる。

1㎏のダンベルを持たせて同じ動作を行わせると、上腕骨外側上顆に痛みが起こった。(図1)

疼痛部位は三焦経の流注部位で、天井穴に近いので「変動天井穴」とする。

〔腹臥位〕

・診断

背腰部に診断按摩を行うと肩甲骨部の小腸経・天宗穴と肩甲骨内縁の膀胱経・膏肓穴に激痛があった。(図2)

肘関節疼痛部位に1寸・00番鍼を刺鍼して回旋・雀啄し、響きを得て置鍼した。

患者に手を握らせて肘関節を伸展させるように力を入れさせると、さらに響き的な痛みが起こった。(図3)

天宗穴に1寸3分・0番鍼を刺鍼して運鍼し、響きを得て置鍼した。

膏肓穴に1寸・3番鍼を刺鍼して運鍼し、響きを得て置鍼した。

肩甲骨内縁のツボには長さ1寸の鍼を使って、刺入の深さを2㎝以内にすると安全である。

置鍼してある3穴に温灸を行った。

例)肘痛のツボと膏肓穴の温灸(図4)

座ってダンベルを持たせ、バックハンドの動作をさせると痛みは70%程度改善していた。

残った肘の疼痛部位に円皮鍼を貼った。

​図3

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​図4

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機関誌176号 (04年07月 発行) 掲載

左鼠径部、脾経・衝門穴の痛み
女性 57歳 

脾経・衝門穴(図1)は鼠径部の大腿動脈拍動部にあるツボである。
しゃがむと痛みが起こる。食事は甘い味、塩辛い味、脂っこい味、なんでも濃い味が好きである。

〔背臥位〕

・診断
左股関節を屈曲して内旋すると痛みが起こった。内旋した状態で足部の脾経・公孫穴(図1)を持続圧すると衝門穴の痛みが軽減した。左側腹部、第11肋骨端の脾経募穴・章門穴(図1)を圧迫すると圧痛があった。鼠径部の衝門穴を指圧しながら、募穴・章門穴を圧迫すると、章門穴の圧痛が軽減したので、鼠径部・衝門穴の痛みは脾すなわち膵臓の弱りから起こっていると推測した。

・治療
鼠径部の衝門穴に鍼体・40㎜、太さ0.14㎜のステンレス、ディスポ鍼で刺鍼して回旋と抜き差しを行って響かせたて置鍼した。公孫穴に鍼体・30㎜、太さ0.12㎜の鍼で刺鍼して、回旋と抜き差しを行って響かせて置鍼した。
2穴の置鍼部に温灸を当てて温めた。

〔腹臥位〕

背腰部に診断按摩を行った。
左意舎穴(図2)に激痛があった。このツボに鍼体・50㎜、太さ0.16㎜の鍼で刺鍼して回旋・抜き差しを行って響かせて置鍼した。
温灸を当てて1分間温めた。(図3)
温灸を一旦置いて、置鍼の鍼を回旋・抜き差しして響かせた。
もう一度温灸を行った。

〔立位〕   

・治療効果の確認
鍼をすべて抜き、ベッドから降りてしゃがむ動作を行うと、痛みは50%程度改善していた。

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​図1

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​図2

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​図3

機関誌175号 (04年05月 発行)