過眠(ナルコレプシー)の治療

(東洋医学誌に論文掲載)

◎症例 1
【男性 45歳 独身】
昼食の後、すごく眠くなるい。日中でも急に眠くなることがあるので車の運転はしない。
腰痛ということで鍼灸治療にかかった。
いろいろと生活内容を聞くと、食後や日中にひどい眠気に襲われるという。
10年くらい前まで車の運転をしていたが、危ないので止めた。
筆者の施術にかかって1年半が過ぎた。
コロナ禍以前、会社に出勤していた時は、午後の会議はひどい眠気に襲われてブラックコーヒーをガブ飲みして、しのいでいた。
5人くらいの人数で行うので、眠るとすぐにわかる。
出来るだけ発言するようにしていた。
コロナが始まってから在宅勤務になった。
腰痛のツボは左関元兪穴で、腎の弱りが左志室穴と腎兪穴に現れていた。
過眠の改善ということで左申脈穴にも刺鍼した。
自宅で昼食後、15分くらい仮眠すると、午後、ひどい眠気に襲われることはなくなった。
またコーヒーを好んで飲むことがなくなり、特に缶コーヒーは旨さを感じなくなって、立てたコーヒーだけを飲むようになった。
腎が弱いと夜は普通に寝ているのに、昼間も眠たがる人がいる。

中医学の奇経の説明
「陰蹻脈は目をつむることに関係が深く、陽蹻脈は目を開けることに関係が深い」と説明している。
陰蹻脈の主治穴は照海穴、陽蹻脈の主治穴は申脈穴である。
従って昼間、眠気が強い人は申脈穴を治療すればよい。
夜、睡眠に問題がある人は照海穴を治療する。
また肝の弱りは夜、眠られなくなる。腎の弱りは日中、ひたすら眠くなる。

 

◎症例 2
【女性 32歳 主婦】
夕食後はものすごく眠くなって、食べ終わったらすぐに30分ほど眠る。
夫は納得しながら、半分あきらめている。
7歳の娘が食事の後片付けをしてくれる。
中医学の子午治療で、腎は午後6時、大腸は午前6時の時間に関係が深いと説明している。
腎が弱い人は午後6時前後の2時間の時間帯に、腎の気を十分に発生できないので眠くなる。
患者さん曰く「夫が塩辛い味付けが好きなので、私もそれを食べていて腎が弱いと思います。
おしっこの量が少ないです。足がむくみます」
午後に治療にかかる患者さんである。
毎回の治療で硬結・圧痛がある右腎兪穴と左志室穴に指圧と揉捏を行うと、筆者の治療時間50分間の間に15分間ほど深く眠る。
その後、2日間は夕食後、ひどい眠気を感じないで食事の後の片づけは娘と一緒に行う。
さらに塩分を減らす食事内容にすると改善すると思われる。

 

◎症例 3
【男性 40歳代】

3回しか施術にかからなかった。
腰椎が6個あるという。
トラックの助手で、荷役積み下ろし作業をしている。
夜は普通に7時間程度寝ている。
アルコールは弱いので、他の人の半分くらいしか飲まない。
日中、ひどく眠い。
運転手には悪いが、乗っている間は眠らせてもらう。
その代わり、積み下ろしの仕事は二人分の仕事をする。
患者さんの話で、車がバックするとき「俺が助手をやっているときに、バックで絶対に事故を起こさせない」という気持ちで、「車から飛び降りて、後ろを誘導する」という。
腰椎が6個あるのは腎の弱りがあると推測される。
しかし、この患者さんの少し後に女性で腰椎が6個ありますという人がかかった。
昼間、特に眠いということはないということであった。
腰椎棘突起を第5腰椎から数えなかったが腎兪穴の硬結は、左右の第12肋骨端を結んだ線上にあった。
腎兪穴を片側ずつ重ね母指で持続圧すると、臍に響いた後、足底の湧泉穴に響いた。
治療を受けた夜はいつもよりもぐっすりと眠られるので、次の日、一日中、寝っぱなしではなく、運転手と話しをする。
すると運転手は「お前、今日、元気だな」と言ってくれる。
継続して治療にかかると少しずつ改善するのだが、勤務が不規則なので続けられなかった。