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​7 鍼灸・臨床発表

左手関節部、月状骨/有頭骨関節(三焦経・下陽池穴の痛み)

女性 72歳

左手をベッドに付くと、手関節部の背側部に痛みが起こる。
疼痛部位は月状骨/有頭骨関節部であった。(図1)
ツボでは三焦経・下陽池穴である。
症状部位と治療関節(図1)
左下陽池穴・月状骨/有頭骨関節
膏肓穴・胸椎4/5椎間関節
三焦兪穴・腰椎1/2椎間関節
仙腸関節
後頭骨/環椎関節・風池穴あるいは完骨穴
第4指の背屈と凹滑り法

〔左上側臥位〕                 

1.仙腸関節

1)上部離開法(図2)              
右手で左手関節を背屈させて痛みを誘発した状態で行って、痛みが軽減することを確かめて行う。

2)前屈と後屈の手技で最も響き的は感覚が強い手技を調べて行う。
三焦経募穴・石門穴を圧迫すると圧迫不快感があった。

最も響き的な感覚が強かった前屈上方滑り法(図3)を行いながら、手関節背屈すると痛みが軽減した。
前屈上方滑り法の響き的な感覚が感じられなくなるまで行った。

2.脊椎椎間関節

1)三焦兪穴の位置する腰椎1/2椎間関節の逆捻転(図4)
腰椎1/2棘突起間を触診すると詰まりと圧痛があって、三焦兪穴の筋を指圧すると硬結があったので腰椎1/2椎間関節に関節機能異常があると判断した。
腰椎1/2棘突起間の真横に手根の豆状骨を当て逆捻転を行った。
この感覚を1として覚えてもらい、1の部位から1㎝上方に逆捻転を行ってその感覚を2として覚えてもらい、
最初の部位よりも1㎝下がった部位に逆捻転を行ってその感覚を3として、
3つの部位の感覚で最も強く感じた部位を聞いた。
1の部位であった。この部位が正確な第1腰椎下関節突起である。
左手関節を背屈して逆捻転を行って、痛みが軽減することを確かめて手技を行った。
腰椎1/2椎間関節部の響き的な感覚が起らなくなるまで持続して行った。

2)胸椎4/5椎間関節の逆捻転
第1胸椎棘突起の下から棘突起を数えて第4胸椎棘突起の下を調べる。
患者に手関節を背屈させて痛みを誘発する。
胸椎4/5棘突起間に手根の豆状骨を当てて逆捻転を行って、手関節部の痛みが軽減することを確かめる。(図5)
胸椎4/5椎間関節部の響き的な感覚が起こらなくなるまで持続して行った。

〔背臥位〕

1)後頭骨/環椎関節の風池穴あるいは完骨穴の離開法
左風池穴の離開法と完骨穴の離開法を行って響き的な感覚が強い方を調べると
完骨穴であった。
手関節を背屈しながら行って、痛みが軽減することを確かめて行う。(図6)

2)患部関節、月状骨/有頭骨関節の背屈と凸滑り法(図7)

 

終って坐位になり、左手をベッドに付くと関節部の痛みは50%程度になっていた。

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機関誌178号 (04年11月 発行)掲載

左足関節部、胆経・丘墟穴の痛み

男性 59歳(患者は男性であるが写真は女性)

胸椎10/11棘突起間の横に手根の豆状骨を当てて逆捻転を行った。
この感覚を1として覚えてもらい、この部位よりも1㎝上方に行って、
感覚を2として覚えてもらい、最初の部位よりも1㎝下方に行って感覚を3として、
最も響き的な感覚が強い部位を聞くと3であった。
この部位が第10胸椎の横突起である。
やや強い力で逆捻転を行いながら、足関節を内反させると痛みが軽減した。(図6)
持続して行うと、3分間くらい経って豆状骨を当てている関節部の響き的な感覚が薄れてきたので終了した。
②関元兪穴の位置する腰椎5/仙骨椎間関節の逆捻転
足関節を内反させて、この関節に逆捻転を行うと痛みが軽減した。
やや強い力で持続して行った。(図7)
3分くらい経って関元兪穴の響き的な感覚が起らなくなったので終了した。

〔背臥位〕
①後頭骨/環椎関節の完骨穴の離開法
左風池穴の離開法と完骨穴の離開法を行うと、完骨穴の離開法で響き的な感覚が強かった。
患者の右足で左足関節を内反させて離開法を行うと、足関節部の痛みが軽減した、
離開法の響き的な感覚が起らなくなるまで持続して行った。(図8)
②左足関節の内反と滑り法をもう一度行った。
強く行っても痛みは起こらなくなっていた。

〔立位〕
立って素振り練習道具を持たせてフォロースルーの動作をさせると、
足関節部の痛みはほとんど起こらなかった。

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機関誌177号 (04年09月 発行)掲載

右上腕骨外側上顆の痛み

男性 62歳(患者は男性であるが写真は女性)

テニスで、バックハンドで打つと肘関節の外側部に痛みが起こる。1㎏のダンベルを持たせ、バックハンドの動作を行わせて痛む部位を確認した。痛みの部位は上腕骨外側上顆で、経絡は三焦経である。

〔右上背臥位〕

  1. 仙腸関節の関節運動法                                              

上部離開法を行った後に、前屈の2種類の手技と後屈の2種類の手技で、最も響き的な感覚が強い方を調べると前屈上方滑り法であった。

患者の左手で右変動天井穴を圧迫しながら前屈上方滑り法を行うと痛みが軽減した。(図2)

前屈上方滑り法の響き的な感覚が感じなくなるまで行った。

  1. 脊椎椎間関節の関節運動法

 

➀三焦兪穴の位置する腰椎1/2椎間関節の逆捻転(図1)                       

腰椎1/2棘突起間を触診すると詰まりと圧痛があ   

った。この棘突起間の外側の三焦兪穴の筋に硬結・圧痛があったので、腰椎1/2椎間関節に関節機能異常があると予想した。             

手根の豆状骨を第1腰椎下関節突起に当てて逆捻転を行った。(図3)

患者に肘疼痛部を圧迫させながら行うと圧痛が軽減した。

関節部の響き的な感覚が起らなくなるまで持続して行った。

➁厥陰兪穴の位置する胸椎4/5椎間関節の逆捻転

第7頸椎棘突起から棘突起を下に数えて、第4胸椎棘突起の位置を調べた。

胸椎4/5棘突起間の真横に手根の豆状骨を置いて逆捻転を行い、この手技で感じる響き的な感覚を1として覚えてもらった。次にこの部位の1㎝上方に行って感じる感覚を2とし、最初の部位から1㎝下方に行って感じる感覚を3として感覚を比較すると3が最も強かった。3の部位に豆状骨を当てて強く逆捻転を行った。(図4)

肘関節の疼痛部位に響いた。

響きの感覚が起らなくなるまで1分間の持続手技を3回行った。

患者の左手示指で肘関節疼痛部位を圧迫すると圧痛は50%程度軽減していた。

➂肩甲骨の側方牽引と背部圧迫ストレッチ

肩甲骨と上腕骨頭をつかんで天井側に持ち上げて側方牽引を行った。(図5)

次に肩甲間部に手の母指球を置いて固定し、手技の手を上腕骨頭の前部に当てて背部に圧迫した。(図6)

➃肩関節の後方外転と凸滑り法

最初に肩関節の滑り法を行った。(図7)

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次に母指を上腕骨頭の背部に当てて体幹の方向に圧迫しながら、肩関節を後方外転して凸滑り法を行った。(図8)

〔背臥位〕

➀患部関節・腕橈関節の関節運動法

・離開法

・後方滑り法

・過伸展と凹滑り法(図9)

最後に筆者が手技を行いながら、さらに患者に肘関節を伸ばして手を握らせ、力を入れさせた。これを3回行った。

 

➁後頭骨/環椎関節の風池穴の離開法

患者に左手の示指で肘関節疼痛部位を圧迫させ、痛みを誘発した状態で離開法を行った。

肘の痛みが半減するまで持続して行った。(図10)

 

〔治療効果の確認〕

立って右手にダンベルを持ってバックハンドを行うと、痛みは70%以上軽減していた。

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機関誌176号 (04年07月 発行)掲載

右鼠径部、脾経・衝門穴の痛み
男性 56歳(患者は男性であるが写真は女性)

ゴルフでスイングすると、鼠径部に痛みが起こる。
痛みの部位を手で押さえさせると鼠径部、脾経の衝門穴であった。(図1)

〔右上背臥位〕

ファダーフの検査方法である、股関節の屈曲・内転・内旋を行うと鼠径部に痛みが起こった。


1.仙腸関節の関節運動法
最初、仙腸関節に緩みを作るために、上部離開法を30秒間行った。(図2)


次に前屈の前屈上方滑り法と前屈下方滑り法を行うと、前屈上方滑り法で響き的な感覚が強かった。(図3)
この手技を響き的な感覚が起こらなくなるまで持続して行った。
後屈の後屈上方滑り法と後屈下方滑り法を行うと、後屈下方滑り法で響き的な感覚が強かった。響き的な感覚が起こらなくなるまで持続して行った。(図4)


ファダーフで鼠径部に痛みが起こったので、後上部離開法と後下部離開法を行った。
最初に左右の膝を揃えた状態で手技を行った。
次に股関節を少し屈曲して右膝をベッドに置いた状態で後上部離開法と後下部離開法を行って、さらに患者に股関節を内側にひねるように力を入れさせた。

(図5)患者に股関節を内側にひねりながら後上部離開法


2.脊椎椎間関節の関節運動法

1)関元兪穴の位置する腰椎5/仙骨椎間関節の逆捻転
患者に足関節を背屈・底屈させて下腿の筋の強張り感を感じさせた。
力強く逆捻転を行って、もう一度足関節を背屈・底屈させると、筋の強張り感がほとんど感じなくなった。
足関節を背屈して逆捻転(図6)
腰椎5/仙骨椎間関節部の響き的な感覚が、感じなくなるまで持続して行った。

2)脾兪穴の位置する胸椎11/12棘突起間を、第5腰椎棘突起の下から数えて位置を確かめた。
胸椎11/12棘突起間の真横に手根の豆状骨を当てて逆捻転を行って響き的な感覚を覚えてもらった。これを1とした。
最初の位置よりも1㎝上方に行って響き的な感覚を覚えてもらい、これを2とした。最初よりも1㎝下方に行って3とし、3つの感覚を比較させると3の位置が最も感覚が強かった。
患者に右膝をベッドにつけさせて鼠径部に痛みを誘発させた状態で、3の位置に豆状骨を当てて強い力で逆捻転を行った。(図7)
微かに鼠径部にジーンとした感覚が起こった。

〔背臥位〕
後頭骨/環椎関節の内天柱穴の離開法
内天柱穴の響き的な感覚が感じなくなるまで行った。(図8)
治療効果の確認
立って右足に体重をかけてゴルフのスイングをさせると、ほとんど痛みは起こらなかった。

 

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機関誌175号 (04年05月 発行)掲載

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