top of page

​13 夢の治療・仮説・疑問・困った話・失敗談・笑い話

●夢の治療

「先生、寝相が悪いのを治せませんか」女性38歳

患者「うちの主人、アルコールを飲んだ時、すごく寝相が悪いのです。飲まなければいいと思うのですが、少しは治らないでしょうか」

筆者「夜、寝る前に按摩にかかると、ぐっすりと眠ると思うので、動きは少なくなると思いますが」

患者「帰りが遅くて、食事をしたら飲んですぐに寝るのです」

按摩にかかればよくなると思うのだが、かかれないという事情の人をかかるようにすることができれば夢の治療である。

 

●疑問

①夜の7時に眠くなる。女性 57歳

腎を中心に治療を行って腰痛がだいぶ改善してきた。排尿の量が増えて足のむくみが少なくなってきた。

しかし夜の7時頃に眠くなるという。

夜の6時前後に眠くなるのは、子午治療の理論で腎の弱りである。

腎が改善してきたと思われるのに、腎の弱りの症状が出てきた。

一時的なことだと思うが疑問である。

➁頚を右に傾けると左腕にしびれが起こる 女性 79歳

整形外科でレントゲンを撮ると、左頚椎がつぶれていると言われた。

坐位になって頚を左に傾けると左腕にしびれが出ない。右に傾けると左腕の上腕部、三焦経にしびれが起こる。

頚を右の傾けるのは、つぶれている左側を開くことになるはずだが実際は逆である。

 

●笑い話

母は先生の治療の後、よく笑います。女性48歳

患者「先生のマッサージをかかって帰ってくると、たくさん話をしてよく笑います。先生は特に笑う治療はしていないと思いますが」

筆者「最初、仰向けで足を揉んでいるときは、いろいろな世間話をしています。うつ伏せになったらほとんど寝ています。よく笑うのは帰ってから元気になるからだと思います」

機関誌178号 (04年11月 発行)掲載

●夢の治療

「先生、ランニングが遅くなる治療はできませんか」女性42歳

筆者「どうしてです」

患者「私と夫はマラソン好きで大会に出ています。夫は昔、自転車をやっていたのですが、コロナの前からランニングに転向して、私とタイムがほぼ同じです。

今度、ハーフマラソに出ます。私、絶対に勝ちたいのです」

今まで調子よくなる治療はしてきたけど、悪くなる治療はしたことがなかった。筆者「それはできません。だけど肝臓や腎臓が疲れ切っている人は、治療して1~2日、体がだるいということがあるので、ひょっとして疲れ切っている前日にかかると、次の日だるくて調子よく走れなかったということがあるかも知れません。でも保証はできないです」

ランニングのタイムが悪くなる治療は夢の治療とは言えないが、このように体調をコントロールできれば夢の治療と言えるかも知れない。

●疑問

腰の逆捻転で足の指がつった。男性 75歳

右腎兪穴の位置する腰椎2/3椎間関節の逆捻転を行った。

1分間程行うと、右足の親指が底屈側につった。

逆捻転を中止して母指を背屈したところ30秒くらいで治まった。

逆捻転を行って症状を改善しているのに、なぜ足がつるのか疑問である。

笑い話

「俺が電話すると、取れないことが多い」男性 62歳

患者「何回か電話して気付いたんだが、俺が電話すると予約取れないことが多い。ワイフに電話させると取れることが多い。だからワイフに電話させている」

筆者「そんなことないです。偶然です」

機関誌177号 (04年09月 発行)掲載

●夢の治療

中年の女性患者「先生、夫と2人で山へ行くと、私だけ蚊に刺されるのです。これは何とかならないでしょうか。私は痩せていて夫は太っています。私よりも夫の血の方がおいしいはずです」
確かに蚊に刺されやすい人と刺されにくい人がいる。どこか内臓の弱いところがあって、そうなっているのだと思うが、何とかならないかと聞かれたら難しい。
治せたら夢の治療だ。

●疑問

吃音(どもり)は心の弱りから起っていると推測される 男性 13歳
肘関節の尺骨頭、小腸経・小海穴にアトピー性皮膚炎があった。
小腸経に病的な症状が現れるのは、その陰の心の弱りである。
母親は、息子には吃音があると言った。
以前、心臓に弱りがある男性も吃音があった。
中医学の五行で、心は「言」に関係が深いと説明している。
心に関係するツボを治療して改善する可能性がある。

●失敗談

脾胃は陰陽の関係で一体であるが、ことごとく反対の内容である。
腹部では胃の下に脾臓があって、背部のツボは胃兪穴の上に脾兪穴がある。
経絡は鼠径部で胃経と脾経が交差していて、胸腹部で内側を流注している胃経が鼠径部で脾経と交差して、下肢では脾経の外側を巡る。
生理機能は、脾は昇清で栄養物を吸い上げ、胃は降濁で消化物を下方に下げる。
逆の内容が多い。

笑い話

患者「 先生、忙しくなったみたいですね」
筆者「どうしてですか」
患者「コロナの時はパジャマのたたみ方が丁寧でした。最近少し乱れています。忙しくなったのかしら」
筆者は同じ様にたたんでいると思っているが、患者さんは意外なところを観察している。

機関誌176号 (04年07月 発行)掲載

●夢の治療
高齢女性患者さん「先生、最近、耳が聞えなくなったのだけれど、聞きたくない夫の声は聞こえるの。聞きたい娘の声が聞きにくいの。反対にならないかしら」
筆者「そういう都合のいい回復はないと思います」 
しかしこれが出来たら、患者さんにとって夢の治療になる。

●疑問
痛風の男性患者さん。59歳
肝兪穴の持続圧で母趾の内側、脾経大都穴・太白穴に響いた。
背臥位で脾経の隠白穴と肝経の大敦穴を指圧して圧痛を比較すると、肝経の大敦穴の方が強かったので、肝の弱りと判断した。
腹臥位で右の肝兪穴に激痛があったので重ね母指で持続圧を行うと、母趾の内側、脾経大都穴・太白穴に響いた。
さらに持続圧を続けると、足の母趾、全体に響いて肝経の行間穴にも響いている感覚が起こった。

●失敗談
「私に痩せなさいという意味かしら」女性49歳
当院は患者さんにサイズ別の治療パジャマを着せている。色柄はほぼ同じである。
あるやや肥満の女性患者さんに3Lのパジャマを着せている。間違って2Lのパジャマを渡してしまった。
更衣室から患者「先生、これいつものよりも小さいですが」
筆者「済みません、これです」と言って3Lサイズを渡した。
更衣室から出てきて「先生、肥満の私に痩せなさいという意味で、小さいのをくれたのですか」
「いえ、たまたま間違っただけです」

笑い話
靴を間違えそうになった。女性66歳
患者さんが帰り玄関で、違う靴を履こうとしていることに、私は気が付いた。
患者さんはパンプスを履いてきて靴箱に置いてあったのに、床にあったスニーカーを履こうとしていた。
筆者「それはあなたの靴では、ないと思いますが」
患者「そうよね。このスニーカー私のとよく似ているので、今日はスニーカーを履いてきたのかと思った」
治療が終わった患者さんは、気持ちよくなっているので、注意が散漫になっていることがある。

機関誌175号 (04年05月 発行)掲載

bottom of page