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臨床メモ

●水中で急に歩けなくなったのは、心臓の弱りであった。女性 73歳。

8月、猛暑が続いていたが少し暑さがゆるんだ時に、休んでいた水中ウォーキングに行った。コロナの時期なのでマスクをかけていた。
水中ウォーキングをしていて、急に足に力が入らなくて前に進めなくなった。
トレーナーを呼んでプールから上がるのを助けてもらって椅子に座って休んだ。
水を飲むように言われて飲んで30分ほど休むと、歩けるようになったので帰りはタクシーで帰ってきた。
マスクをして熱い空気を吸い込むと、内臓は熱せられて心臓に負担がかかる。
中医学の五行の五気で、心は「暑」に関係が深いと説明している。         

●いろいろな部分が冷えを感じてから風邪をひく。

筆者の中年の男性患者さん、足のすねが冷えるとかぜを引く。
そのご夫人は背中が冷えるとかぜを引くという。肩甲間部の胸椎2/3棘突起間外側部に風門穴というツボがある。
風邪(ふうじゃ、という空気中の病的な物)が、ここに門があって入ってくる意味のツボであるので納得できる。
また以前、ふくらはぎが冷えるとかぜを引くという男性がいた。
ある女性は、腕を上げて寝る癖があって、パジャマから肘が出て冷やされると、のどかぜを引くという。         

●心臓の弱い人は肘の外側部、尺骨鈎状突起部が黒ずむ。女性 47歳。

色白で肌は綺麗である。本人は気が付いていないかも知れないが、肘の裏側の骨の出っ張りの部分が黒ずんでいる。
この部位は小腸経の小海穴があるところで、心の陰の弱りは、その陽の小腸経の経絡上にいろいろな症状が現れる。         

●腎の弱りは督脈に出る。男性 71歳。

腰部の腰椎2/3棘突起間の命門穴に赤い血ホクロがあって、後頸部の瘂門穴周囲の皮膚が赤くなっている。
ともに任脈のツボであるが、腎が弱ると発生する症状である。         

●夏、下駄が好きな女性は腎が弱い。 68歳。

8月の暑い日に女性患者さんが下駄を履いて来院した。
「下駄は涼しそうで、いいですね」というと「夏、暑い時に靴を履くと汗をかいてむれるから嫌なんです」
腰痛が主訴でいろいろ話を聞くと、足が火照るので冬でも布団から足を出して寝るという。
腎の弱い人は、足に汗をかきやすいことが分かった。         

●コロナウイルスにかかった可能性の話。 四国出身の独身男性 会社員 38歳

4月27日、在宅勤務になった。その2日後から38度以上の熱が出た。
4月にかぜを引いたことがないので、すぐにコロナにかかったと思った。
病院へ行こうと考えたが、週刊誌の感染者の酷い話を思い出して怖くなった。
薬局へ行って、かぜを引いたということで漢方薬の葛根湯を買って、ひたすら一人暮らしの部屋に籠っていた。
食べ物は夜になって、こっそりとコンビニへ行って買って食べた。
実家に言うと年取った親が心配するし、誰にも言えなかった。こんなにも辛い思いをしたことはなかったという。
38度の熱は一週間で引いて、その後、37度前後が2週間くらい続いた。
3週間たって36度3~4分に下がって平熱になった。
5月25日に緊急事態宣言が解除になって、次の日に会社へ行った。

社長の話
「社員の一人が在宅になって3日後に、コロナにかかったようだと連絡があったが、微熱だというので自宅待機で様子をみるようにと指示した。
何回か連絡をもらったが悪化せずに治った。今日は出社していない。」
その社員は私の近くに座っている親友であった。驚いた。
「私はもう大丈夫になったので、先生のところに飛んで来ました。」
話を聞きながら胸の激痛のツボ、神封穴、霊墟穴を充分に治療した。
帰りに緑茶を渡して、かじるように勧めた。         

●私、体のどこでも関節がポキポキとなるのです。女性 38歳。
「20代の頃はそうでもなかったのですが30歳過ぎてから、背骨を左右にねじったり、手の指を強く曲げるとポキポキと鳴るようになりました」
「夫は『お前、どこか悪いのではないか』といいます。夫はほとんど鳴りませんが、たまに貧乏ゆすりをします。私、体、悪いのでしょうか。」
筆者の答え
中医学で「腎は骨を主る」と説明しています。
関節は骨と骨とのつながりですが、関節を動かして音が出るのは関節液が少ないこと、靱帯や関節包の柔軟性がなくなって、滑らかに伸びないからだと思います。腎の弱りで起こっていると思います。         

●肝機能数値が悪くなった頃からO脚になった。50歳代の女性。
最近、O脚が気になるという。
「O脚は膝が外側に曲がるということで、肝臓の弱りから起こることが多いのですよ」と言うと、
「本当ですか、実は2年前、肝機能数値が悪くなった頃からO脚になってきました」         

●腎の弱い人は真水はきらいで、味の付いた水が好きである。男性 52歳。
右腎を10年前に摘出した男性。
「真水は美味く感じないので飲んだことはないです。水分補給はコーヒーが多いです。後、炭酸水です」 

●腎兪穴に刺鍼して温灸をしたら、頭と顔にものすごく汗をかいた。女性 47歳。
最近、更年期のようで、急に頭から汗をかきますという。
筆者の経験上、更年期の症状は腎の弱い人にいろいろと起こることが多い。
腰部の腎兪穴に硬結・圧痛があったので置鍼して温灸をしたところ、頭と顔にものすごく汗をかいた。
治療で普段の症状が起こると、その後であまり起こらなくなる。 

●インフルエンザのくすりを飲んだら、生理が1週間、遅れた 女性 32歳 
丁度、生理が来る前のタイミングで、風邪かなと思ったらインフルエンザということでくすりが処方されて飲んだら、めったに生理は狂わないのが1週間、遅れた。

●右上腕骨外側上顆の骨が大きくなってきたのは、肝臓の弱りと推測された
女性 73歳
肘の骨が出っ張ってきて当たると痛いという。この部位の症状は筆者の経験上、肝の弱りから起こっていることが多い。背部の肌を診ると、右肝兪穴の5㎝ほど外側に赤い血ホクロがあった。
肝兪穴を指圧すると、このツボよりも外側の魂門穴に圧痛があって、持続圧すると肘の骨に響いた。
「肝臓の弱りで起こっていると思いますけど」というと、「私はアルコールを飲みません」との返事。
1回しか来られなかったので、その後、どうなったかわからないが、肝臓の弱りがあるのに、本人は、その自覚がないという点が問題だと思う。

●赤ちゃんの顔がだんだんとフランス人になってきた。女性 27歳。

日本人女性がフランス人と結婚して女の子が生れて3カ月たった。
生まれたては目の色が東洋人の黒だったのが、だんだん青色になって夫のフランス人に似てきたという。

●小指の曲がりは心臓の弱りが原因であった。女性 51歳。

2年前に不整脈が起こり、くすりを飲むようになってから、左小指の第1関節が内側に曲がってきたという。
小指は心経が巡っているので曲がったのだと考えられる。

●夜中の2~3時頃に背中が寒くなって目が覚める。女性 41歳。肝臓の弱り。

数年前にかかった女性が久し振りに、またかかってくれた。
夜中の3時頃に背中が寒くなって目が覚めるという。
背腰部の素肌を触ると肩甲間部や腰部よりも肝兪穴のところが、1番、冷えていた。夜中の2~3時頃は中医学の子午の理論で肝に関係した時間である。
この時間に症状が起こることと肝兪穴の冷えで、肝臓の弱りが予想された。

●黒いホクロが左脾兪穴と左四白穴にある。女性 29歳。

身体に、ほとんどホクロやシミのない患者さんであるが、顔の左胃経・四白穴と背部・膀胱経・左脾兪穴に直径、2㎜ほどの黒いホクロがあった。
患者さんは甘い物が好きである。
脾、すなわち膵臓の弱りで、この二ヶ所にホクロができたものと推測された。

 ●お酢の嫌いな人にカプセル入りの酢を勧めた。女性 81歳。 

お酢だけは嫌いという女性に、「是非、摂ったたらいいのですが」、といってカプセル入のお酢を勧めたところ飲めるようになった。
2カ月経って便通が良くなり、肩凝りが少なくなって歩くのが早くなった。

●腎の弱い女性。夫の病気を心配して髪の毛が抜けた。女性 56歳。

普段、左志室穴に硬結・圧痛があって左足がむくむ。
夫が肝内胆管ガンになって心配事が続いたところ、頭頂部の左側の髪の毛が抜けた。

●お友達に会いたくてキャンセルが多くなった80歳の女性。

毎週、1回、定期的に鍼にかかっている患者さん。
「お友達がみんな亡くなるの。みんな死ぬ前に会いたいというので、いつもキャンセルして済みません」
お酒が飲める患者さんで、飲むと足がむくむので心配である。

●寝るとき、恐いのでテレビを付けっぱなしで寝ます。女性 37歳。

足が冷えてむくむという独身の女性。いろいろ話しを聞くと、実家にいたときは父親が漬け物をはじめ塩辛いものが大好きで、私もそれを子供の頃から食べていて、今でも塩辛い物が好きなので腎臓が弱いと思いますという。
「上京して独り暮らしをするようになって、夜、寂しくて恐いのでテレビをずっと付けたまま寝ています」
中医学の五行の五志で「腎が弱ると恐れ・驚く」と説明されている。

 ●「私、背中を揉まれると、くすぐったくてだめなのです」女性 32歳。 

くすぐったがりの患者さんには、揉捏をしないで、母指圧か手根圧迫を行うと、あまりくすぐったさを感じさせないで治療することができる。
しかし、くすぐったいのは五臓の弱りであるので、試しに肺の部、心の部、肝の部、脾の部、腎の部と手掌を当てて横揉捏を行い、「1番、くすぐったく感じるのはどこですか」といって調べると、全部がくすぐったいわけではなく、最もくすぐったく感じる部位があって、弱っている内臓を判断することができる。この患者さんは肝の部で最もくすぐったさが強かったので肝の弱りが予想された。

●静脈瘤が下腿・脛骨の内側・脾経に出ていた。女性 67歳

左膝の脾経・内膝眼穴が痛むということで、背部の左意舎穴を治療した。 
最後、坐ってもらうと、「先生、右足の静脈瘤が酷いの」と言ってズボンを上げて見せてくれた。 
その部位は、脛骨の内側部で脾経の経絡上であった。 
脾すなわち膵臓が弱いと、静脈瘤は脾経に現れることが分かった。

●かぜを引くとき、その人の弱い部位に症状が起こる。女性 62歳

右の膝関節内側部の肝経・曲泉穴に痛みのでる女性。健康診断で脂肪肝が指摘されている。
「私、かぜを引く前に必ず額が痛むのです」
額は胆経の経絡エリアであるが、ここに肝の弱りが現れて、頭痛が起こるものと推測される。
昔、他の女性患者さんが、腎臓の弱い方であったが、かぜを引く前にふくらはぎが凝ると言っていた。

●腓腹筋内側部の激痛は腎の弱り。男性 47歳。

以前から按摩にかかっている男性で腎に弱りがある。睡眠中にふくらはぎがつることもある。
子供の野球に付き合って走ったところ、左足のふくらはぎに激痛が起こって、車に乗せられて病院へ行った。普通に歩けるようになるまで、約1か月半もかかった。
2か月振りで治療にかかったときに話してくれた。

●スマホによる目の疲れ。女性 34歳。

出産して6か月たった。子供の世話で忙しくて買い物に行けないので、夜、子供が眠ってからスマホでネットショッピングをしている。
ものすごく目が疲れていて、後頭部の上風池穴に激痛があった。

●不整脈のある男性、競馬が当たったら手が冷たくなった。57歳。

競馬で50万円ほど取った。換金所でお金をもらうときに手が冷たいと思った。 家に帰って奥様にお金を渡して手を触わられたとき、「あなた手が冷たいね」といわれたという。 心に弱りのある人は、ものすごく嬉しい事があると心に負担がかかって、手が冷たくなると中医学の五行で説明している。

●インフルエンザの予防注射をしたその日に按摩にかかったら、その後、ひどくだるくなった。女性 52歳。

2年ほど前から按摩にかかっている患者さんであるが、今年、会社の勧めでインフルエンザの予防注射をした。その後に按摩にかかったら、ものすごくだるくなった。

●ピルを止めたら足のむくみが減った。女性 28歳。

鍼・温灸治療を継続して体調がよくなったのでピルを飲むのを止めたところ、いつも履いているブーツがゆるくなって、足のむくみがなくなったのが分かった。 

●膝の上にパソコンを乗せてやると下腹部が重くなった。女性 29歳。

最近、仕事が忙しくなって、外出でもパソコンを持ち歩いて机がないところでは膝の上に置いてやるようになった。
何回かやると、下腹部が重くなることに気が付いた。
電磁波を受けてのことだと思った。

●手の小指球部が赤い人は、心臓と肝臓に弱りがあると推測される。

患者さんで手の小指球部がひどく赤い人がいる。小指球部は心経の経絡であり、手の平が赤くなるのは肝の弱りである。
実際、心兪穴と肝兪穴に硬結・圧痛があって、心臓と肝臓に弱りのある人に多い。

●腹部の触診がくすぐったい。患者の手をかりてその上から圧迫して硬結・圧痛を調べた。女性 34歳。
生理痛があるというので下腹部の素肌を触診しようとすると「先生、私、すごく、くすぐったがり屋で、だめなんです」という。それではと患者さんの手をかりて、その上から筆者の手を乗せて下腹部を数カ所、圧迫して揉んだ。
くすぐったくないので調べることができ、臍の左斜め下に硬結と圧迫不快感のあることが分かった。

●脂肪肝は血液の検査で数値に出ない。男性 63歳。
患者さんはアルコールをかなり飲んでいて肥満体である。しかし血液検査ではγ-GTPの数値は高くないという。
医師からは脂肪肝の場合、数値に出にくいという説明があったという。

●塩分が強いとふくらはぎがつる。女性 52歳。NEW!
ある温泉に行ったところ、その泉質は塩分が強くて宿の食事も塩辛かった。寝て朝方、ふくらはぎがつった。
塩分が腎臓に負担をかけて、腎経の経絡がめぐっているふくらはぎ内側の気が虚して、つったのだと推測される。

●ウナギを食べたあと胃が重くなった。女性 62歳。
昔はウナギを食べても何でもなかったのだが、今年になって2度、ウナギを食べたら、その後で胃がもたれる感じで不快になった。 年のせいで合わなくなったのかなと思ったという。

●手の小指球部が赤い人は、肝臓と心臓に弱りがあると推測される。
患者さんの症状をいろいろ観察して、手の小指球部が赤い人は肝兪穴と心兪穴に硬結・圧痛のあることが多い。
肝臓と心臓に弱りがあると推測される。

●前頭部の髪の毛が薄くなったのは、肉を多く食べるようになって腎が弱ったためと思われる。女性 43歳。
結婚して4年になる。それまで肉はあまり食べなかったのだが、ご主人が肉大好きな人なので、おかずは肉料理が多くなった。
2回目までの治療は、のどの痛みであった。この症状が改善すると、「実は頭の前の髪の毛が薄くなって気になるのです」いう。
頭の膀胱経の髪の毛が薄くなるのは腎の弱りなので、いろいろ質問すると肉を食べるようになったこと、足のふくらはぎの内側の筋がツルこと、
腎経の築賓穴に硬結・圧痛があるということで、腎の弱りから起こっていると思われた。

●歯を噛みしめる。女性 61歳。
「寝ている間に歯を噛みしめているようで、朝起きた後、顎がだるいです」との訴え。
これは筆者の経験上、甘い物を食べすぎて膵臓が弱っているときに起こることが多い症状である。
「甘い物を食べすぎていませんか」と聞くと、「2年前に今の所に引っ越してきたのですが、近所にとても美味しい和菓子屋と洋菓子屋があって、週に1回はどちらかの店に行って買っています。
そういわれると、前に住んでいたところでは、今のように、毎週、甘いものを買って食べるということがなかったので、歯を噛みしめることは少なかったように思います」との話。
・実験をして治療穴を判断した
背臥位 下肢の脾経(陰陵泉穴)と胃経(足三里穴)の硬結・圧痛穴を同時に4穴持続圧して、歯を噛みしめてもらうと、その感覚が軽減した。
①腹臥位 左右の意舎穴を母指持続圧しながら歯を噛みしめてもらうと、その感覚が軽減した。 

●甘い物好きが、夫婦でなすり合い。男性 68歳
ご主人は右の意舎穴が凝っていて、ご夫人は左の意舎穴が凝っている。
意舎穴は膵臓の弱りが現れるツボなので、甘い物をたくさん食べていないかを聞くと、ご主人は「ワイフが甘い物が好きなので、付き合って食べている」。
ご夫人は「主人がアルコールの量を少なくしたら、甘いものが好きになって、自分で買ってくるので、私も付き合って食べてしまいます」。
お互いに相手のせいにしている。

●歩いていて急に脱力感に襲われる。原因はうどんの過食。女性 55歳。
この夏、食欲がなくて、手軽に食べられて美味しく感じたので、毎日のようにうどんを食べた。
昨年はなかったのに今年は坐っていて急に眠くなったり、歩いていて急にしゃがみ込みたくなることが何度か起こった。
自分でもどこかおかしいのではないかと心配したが、病院へ行って何か重大な病気ですと言われたらと思うと恐くなって行っていないですという。
筆者もこの話を聞いて脳か心臓の弱りではないかといろいろ考えながら、飲食について聞くと、この夏、食欲がなくて手軽に食べられる「うどん」ばかりを食べていたという。
うどんは血糖値を急激に上げる食品である。血糖値が急に上がるとインスリンが大量に分泌されて反対に血糖値が急に下がるわけで、その時に低血糖の症状として眠くなったり、しゃがみ込みたくなったりしたのだいうことが分かった。

●メラトニンでγ-GTPが250に上がった。女性 29歳。
メラトニンを飲むとすぐに眠れるので、仕事で疲れて眠れないとき使っていた。以前に研修の合宿があって5日間飲んだ後、会社の健康診断があって結果の数値をみたらびっくり。アルコールは少し飲むけど、肝機能数値がこんなに上がったのは初めだという。 ホルモン剤は肝臓を強力に弱らせることが分かった。

●十六茶に昆布が入っていて、甲状腺機能亢進が治らなかった。女性 42歳。
甲状腺機能亢進で薬を飲んでいる。
数値が下がらなくて変だなぁと思って食べたり飲んだりしている物をいろいろ調べたら、味が好きで飲んでいる「十六茶」の中に昆布が入っていて、これが原因だった。
止めて1カ月くらいで数値が下がってきた。

●背部のくすぐったさが半減した。男性 31歳。
前号の按摩治療で発表した男性。その後、アイスクリームをほとんど食べないようにしたら、左鼠径部の痛みと背部のくすぐったさが半分以下になった。

●実は毎回、タクシーで帰っていました。女性34歳。

会社の仕事が終わって夜の9時から当院の治療にかかる。終わると、ものすごく疲れが出て、 自宅まで電車で20分くらいの距離であるが、最初の頃、数回は2000円くらいの距離をタクシーに乗って帰っていたという。

●腹臥位になって膝の皿が痛む人は、胃の弱い人である。

胃の弱い人は、ベッドでうつ伏せになって下肢後側部を手根圧迫されると、膝の前の皿に痛みを感じることがある。
足首に枕をあてて膝を少し曲げた状態にして按摩を行なうと、痛まずに圧迫することができる。

●腎の弱い人は下腿のふくらはぎがヒンヤリとしている。女性 77歳。
腎の弱い人は夏でも、下腿後側部のふくらはぎからアキレス腱にかけて肌がヒンヤリとして冷えていることが多い。

●膝の内膝眼穴の痛みは膵臓の弱りであった。女性 79歳。NEW!

普段から、やや肥満の女性であるが、最近、さらに体重が増えた。
右膝の膝蓋骨の内側部、脾経・内膝眼穴が痛むという。また顔のホウレイ線のシワが顎の方まで長くなった。
原因は、お菓子の食べ過ぎで、治療穴は背部の脾兪の外側にある意舎穴であった。

●冬でも水に氷を入れて飲む。女性 51歳。

月に2回くらいの回数で按摩にかかっている女性。
いろいろ話を聞くと、冬でも水に氷を入れて飲むという。
この患者さんは口の中が熱くなっているので、冷たい水が美味しく感じるのだが、背腰部を揉むと腰部の志室穴に硬結・圧痛が強いので、腎の弱りで内臓の深い部分が冷えて口の中が熱くなって冷たい物が好きになっていると推測される。

●肩の激痛はくすりとアルコールの飲み過ぎが原因。女性 79歳。

左側の内肩井穴あたりを中心に1日、2~3回、激痛が起こる。
患者さんは昨年、弟が亡くなってから血圧が高くなり、坐骨神経痛にもなって降圧剤と鎮痛剤を飲み続けている。
アルコールも以前から好きで飲んでいる。
今年になって友人が亡くなることが多く、葬儀の後で飲食する機会が多かった。
背腰部で最も硬結・圧痛のあるツボは肝兪・魂門と胃兪・胃倉で、このツボを強く持続圧すると激痛の起こる内肩井に響く。
治療を続けているが痛くなるとすぐに鎮痛剤を飲むので、肝と胃を弱らせて、それが頸椎椎間板を狭窄させ、また激痛が起こるというイタチごっこになっている。

●走って汗をかいて水を飲まなかったら、内くるぶしに痛風で出た。男性 52歳。
尿酸値が高いのでクスリをのんで数値を押さえている。 朝、軽いジョギングをして汗をかくようになって3日たったとき、昼間、会社で右内くるぶしが痛くなった。 水は、少しは飲んでいたが考えてみると少なかったという。 ビールなら飲めるが、ビールは通風によくないことは分かっているので、水分の補給が少なかったということで発症した。

●結婚して左薬指に指輪をはめたら肩が凝るようになった。女性 30歳。NEW!
患者さんは膠原病があって副腎皮質ホルモンを服用している。 このクスリが副腎を弱らせて、副腎と関係の深い三焦経の薬指に弱りが出て、いろいろな物に敏感になっていると思われる。 結婚して指輪をはめたことで、その金属が身体に合わないか、金属を指に付けていることで熱を奪われる、つまり指が冷やされるということで、肩凝りにつながったのではないかと思われる。

● 肩甲間部にシミの多い人は油料理の好きな人である。男性 58歳。
伏臥位で背腰部をみたら、特に、肩甲間部の上部にシミがたくさんあった。
「ここにシミが多い人は、油料理の好きな人なのですが、どうですか」と聞くと「今はあまり食べないようにしているが、昔、トンカツをはじめ油料理が大好きだった」との話であった。
他の患者さんでも油料理の好きな人は、この部位にシミが多くある。

●生理痛で非アスピリン系の薬を飲んだら耳が腫れた。女性 30歳。

久し振りに生理痛がきつかったので、非アスピリン系の薬なら副作用が少ないと思って買って飲んだら左の耳が腫れた。 生理痛はだいぶ改善された。

●いびきの改善の治療をしたらカラオケで歌って高い声が出た。女性 38歳。 

いびきがひどいというので、舌に関係の深い脾経のツボ(陰陵泉穴)を中心に治療した。次の日の夜、友達とカラオケに行って歌ったら、いつもより高い声が出て歌が上手になった感じがしたという。

●アトピー性皮膚炎の治療で花粉症が出ない。女性 38歳。 

春からアトピー性皮膚炎の治療を続けて、だいぶ改善してきた。 
毎年、秋に花粉症が出るのだが今年は出ないという。
特別に花粉症の治療をしたわけではないが、アトピーを改善する食事療法と鍼灸治療で花粉症も改善されたのだと思う。

●蕁麻疹が仙骨部の左側と膝の裏・委中穴に出た。女性 47歳。 NEW!

「先生、実は変なところに蕁麻疹が出ているのです」
「どこですか」「お尻と足の後ろなんです」
見ると左仙骨部と左膝の裏の委中穴であった。
この患者さんは以前からかかっていて腎の弱い人である。
油で揚げた塩辛い物を食べると、腎が弱って腎経の経絡上に蕁麻疹が出る。

●舌がヤケドをしたような感じで辛い味が分からなくなった。女性 49歳。
喉頭ガンの手術の後、舌がヤケドをしたような感覚になって特に辛い味が感じられなくなったという。
激辛のカレーライスは味が分からないで食べることができるが、水を飲むとドッと汗が吹き出るということで、体は辛い味に反応している。

●山登りすると頭から汗をびっしょりとかく。女性 30歳。 NEW!
最近、山登りをすると頭から汗をびっしょりとかくようになって、帰ってから体がむくむという。
腎の弱りと判断して腰部に診断按摩を行うと右志室穴に硬結・圧痛があり、足底の湧泉穴に圧痛があった。 極力、塩辛い物を食べないようにして排尿を促すドクダミ茶などを飲むように勧めた。

●頭痛はあなたのせいよ。男性 71歳。
男性患者さんの奥様の話し。こめかみの頭痛が続いて病院で検査をしたが、特に原因はなかった。
医師は最後に「ストレスかも知れません」といった。
奥様はストレトと言われて、すぐに思い立ったのは夫のことであった。
患者:「うちの家内が頭痛の原因はストレスで、あなたのせいです」というんだよ。
筆者:「奥さんの頭痛は、頭のどの部位ですか」
患者:「こめかみです」
筆者:「奥様は甘い物は好きではないでしょうか」
患者:「大好きです」
筆者:「恐らく、甘い物の食べ過ぎで胃と脾(膵臓)が弱って頭痛になっているのだと思います。 血糖値が急に高くなった反動で急に下がったとき、低血糖の症状として頭痛が起こるのだと思われます。ご主人のせいではありません」
患者:「先生、今度、連れてくるから、それをしっかりと言って下さい」
奥様は、まだ来院していない。


●肝臓と心臓に弱りがある人は、左手の小指球が赤い。女性 55歳。
肝臓の弱い人は手の平の動脈が開いて赤みが強い。さらに心臓にも弱りのある人は心経の流注部位である小指球部が赤いことがある。

●心臓の弱い人ほどコーヒーが好きな傾向にある。女性 52歳。
コーヒーのことで患者さんにいろいろ聞くと、毎日3杯以上飲む人に限って自覚症状として不整脈があったり、肩甲間部の心兪穴に硬結・圧痛があるなどの心に弱りのある人が多い。
中医学の五行で「苦みは心に入る」と説明されている。
コーヒーは心臓の弱りを助ける作用があると思われる。しかし「摂りすぎるとやぶる」ということで、飲みすぎると心に負担をかけると思われる。

●唐辛子の嫌いな人は、Oリングテストで弱くなる。女性 36歳。
アトピーの患者さんで唐辛子が食べられないという人に、一味唐辛子をちり紙に包んで、硬結・圧痛の反応の強かった左中府穴に置いてOリングテストをした。
唐辛子を置く前と比較して、極端に指の力が弱くなった。
Oリングテストの反応は確かにあるものだと分かった。

●足背部の立方骨周囲の関節の痛みは、肝臓の弱い患者さんに多い。女性 78歳。
歩くと足が痛いというので調べると、足背部の立方骨と第4中足骨の関節部であった。この部位は胆経の流注部位である。
背腰部を調べると肝兪に硬結・圧痛があり、この患者さんの兄弟は皆、肝臓が弱いそうである。
以前にも肝臓が弱くて、立方骨周囲の関節に痛みを訴える患者さんがいた。
足の胆経の痛みは、肝臓の弱りで起こることがある。

●少し太った。男性 38歳。
腹臥位で背腰部を指圧すると、いつもよりファッとした軟らかい感触があった。太ったかなと思ったので聞いたら、少し太ったとのことだった。
顔を見たときは分からなかった。

●静脈瘤が右足脛骨内側面にできた。女性 72歳。

血圧が高くて降圧剤を飲んでいる。中性脂肪とコレステロールも数値が高い。脂肪肝がある。
「先生、ここに血管が浮き出てきたのよ、これ治らないかしら」というので診ると右足脛骨内側面に静脈瘤ができていた。
肝臓の弱い人は静脈瘤のできる部位も肝経の経絡上である。

●のど痛で抗生物質を飲んだら左臀部・環跳が痛くなった。女性 48歳。

定期的に鍼にかかっている患者さんで、左臀部の環跳に鈍い痛みがある。
のどの痛みで抗生物質を飲んだ次の日から、はっきりと痛みが起こった。
「この痛むところは胆経のツボなのですが肝臓の弱りで起こるのですよ」と説明したが患者さんは納得しない様子だった。

●腎の弱い患者さん「骨の中が冷える感じがする」という。女性 81歳。

リウマチ性多発性筋痛症でステロイド(プレドニゾロン)を飲んでいる。 
「足の深いところの骨が冷えるような気がする」という。
この患者さん、腹臥位で足裏の湧泉を指圧すると、たまに大腿骨の中に響くような感じがするという。

●肘の痛みが治らない心臓の弱り。男性 65歳。

左肘内側部・心経・少海が痛む。胸部の左腎経・歩廊穴に圧痛があり、背部の心兪にも硬結・圧痛があって、これらのツボを指圧すると肘に響く。
また姿勢が肩甲間部の心兪あたりから猫背になっている。患者さんは動悸などの心臓の弱りはないし、健康診断でもひっかかったことはないという。
筆者は心臓の弱りは言わないことにして、コーヒーを何杯も飲まないこと、アルコールを酔うほど飲んで風呂に入らないことをアドバイスしている。

●ハルシオンの青い色が遺骨に残っていた。

葬儀で骨揚げをしたときの娘さんの話。
「父は眠れなくて睡眠薬のハルシオンを常用していました。その薬は青い色だったのですが、遺骨を見たとき骨盤のあたりに青い色の物が残っていました」
薬は肝臓で代謝されて腎臓から排泄されるが、腎臓から排泄されないで下腹部に残っていたのだと思われる。

●かぜを引いたら肺兪穴の周囲の皮膚がカサついていた。男性 73歳。

普段、かぜを引かない人が、ひどいかぜを引いて昨夜はほとんど眠れなかったという。
内科で診てもらったが気管支炎や肺炎ではなかった。
仰向けで治療してうつ伏せになってもらって背腰部の肌を診ると、肺兪穴の周囲の皮膚が乾燥してカサついていていた。
素肌を軽く前揉捏すると皮膚が剥がれて落屑した。
肺兪穴がカサついていることで、肺や気管支の中も潤いがなくなっていることが予想された。

●今年の冬は寒かった。患者さんの冷えのいろいろな症状。

・中年女性。寝るときに足が冷たいのは毎年の事であるが、今年はさらに頭が寒く感じて眠られないので帽子をかぶって寝た。外出するときも常に帽子をかぶると体が温まることがわかった。
・ 中年男性。息子さんがインフルエンザにかかって自宅療養していた。同じ家に居てインフルエンザはうつらなかったが、ひどいかぜ(普通感冒)をひいた。
・ 女性。初めて、手にしもやけができた。
・ 慢性腰痛の年配女性。腰がガクッと曲がってしまった。

●五十肩がなかなか治らないのはアルコールの飲み過ぎが原因であった。男性 55歳。不動産会社社長。

五十肩の鍼灸治療をして4カ月が経って50%程度改善した。
肝兪穴に指圧・鍼をして患部に響くので飲酒が原因であると患者さんと筆者は判断した。患者さんは飲酒の量を減らした結果、尿酸値、8・3あったのが7・1に下がったが、肩の痛みはなかなか治らない。
患者さんは「尿酸値が、ほぼ正常になったのに五十肩が治らないのは、アルコールが原因でなかったと思う」と話す。
しかし忘年会で久し振りに深酒をした朝、起きたら五十肩の痛みがぶり返した。
やはりアルコールの飲み過ぎが原因であることが分かった。

●心臓の弱い人はお風呂よりも足浴がよい。女性 77歳。

足が冷えるというのでお風呂に入ることを勧めたら、お風呂に入って温まってくると心臓がドキドキして入っていられなくなるという。
それではバケツのような物にお湯を入れて足を温める足浴がよいですよと勧めた。
足浴の健康器具が販売されているのだが、お金がかかることと、どれがよいか分からなかったので、器具を購入することは話さなかった。
次の治療のとき患者さんの方から「先生に言われて足浴をしようと思っていたら娘が、買ってくれとはいわないのに気持ちが通じたのか、お湯を使わない電気で温めるのを買ってきてくれて、それでやっています。ちょうど気持ちよいくらいに温まって、心臓がドキドキしなくてとてもよいです」という。
なお、 かぜを引いたときも風呂に入るよりも足浴で顔から汗をかくほど温まると、かぜが早く治る。

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